WACCA MUSIC SCHOOL

講師ブログ

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

ボイトレの前にやるだけで上達が変わる。“歌が上手い人”は最初にこれをしています

こんにちは!

wacca music school 講師の山田裕介です!

皆さん、普段どんな風に歌の練習をしていますか?

「高音を出せるようになりたい!」

「もっと上手く歌いたい!」

と思って、発声練習やボイトレを頑張っている方も多いと思います。

もちろんそれも大事なのですが、実は“歌が上手い人”ほど、練習前にあることをしています。

それが、

「聴く力を鍛えること」

です。

先生から課題曲をもらった時、まず最初に曲を聴きますよね。

でも、多くの人はここで

“なんとなく聴く”だけで終わってしまいます。

一方で、上達が早い人は、

– なぜこの歌い方が心地良いのか
– なぜこの人の歌は印象に残るのか
– どこで感情が動くのか

などを自然と分析しながら聴いています。

この「分析しながら聴く」という習慣が、実は歌の成長スピードを大きく変えてくれます。

歌の分析とは?

歌の分析とは、

「なんとなく聴く」のではなく、

“その歌が、なぜそう聴こえるのかを分解して聴くこと”

です。

例えば、

なぜ心地良く聴こえるのか

なぜオシャレに聴こえるのか

なぜ感情が伝わるのか

を、細かく聴き取っていきます。

歌が上手い人ほど、実は「耳」が良いです。

ここでいう“耳が良い”とは、単に音感があるという意味ではありません。

例えば、

● 声質の違い

● リズムのクセ

● 息遣い

● 感情の込め方

● 抑揚

●子音・母音の使い方

などを細かく聴き取れる能力です。

だからこそ、

「この人の歌、なぜか心地良いな」

「なんでこんなにオシャレに聴こえるんだろう?」

といった疑問に対して、“理由”を見つけられるようになります。

逆に、分析せずに歌ってしまうと、

– なんとなく真似する
– 感覚だけで歌う
– 雰囲気は近いけど何か違う

という状態になりやすいです。

そしてこの“耳の良さ”は先天的なものではなく、トレーニングで伸ばすことができます!

普段から「なんとなく聴く」のではなく、意識して聴くクセをつけることで、“聴く力”は少しずつ鍛えられていきます。

歌を分析する時に注目したいポイント

歌を分析する時に注目したいポイント

① リズム

まず注目してほしいのが、“リズムの乗り方”です。

同じメロディでも、リズムの感じ方で歌の印象は大きく変わります。

■1拍目のビートにしっかり乗る

J-POP、ロック、アニソンなどに多い歌い方です。

ドラムの拍にしっかり合わせて歌うことで、

– ストレート
– 力強い
– ノリやすい

という印象になります。

【ポイント】

初心者の方はまず、この「拍にしっかり乗る感覚」を身につけるのがおすすめです。

例:緑黄色社会「Mela!」

頭から鳴っているキックドラムの「ドン、ドン、ドン、ドン…」という力強く前進感のあるビートに対して、長屋晴子さんの、完璧なタイミングで空間を切り裂くようなパワフルな歌声が見事にマッチしています。

■ 前ノリ / 後ノリ

R&B、Hip-Hop、Neo Soul、洋楽などに多い感覚です。

前ノリ → 少し前に突っ込むように歌う

後ノリ → 少し後ろに引っ張るように歌う

【ポイント】

特に後ノリは、“洋楽っぽさ”や“グルーヴ感”を出す上で重要です。

ただし、無理にズラすと不自然になるため、自然に乗れていることが大切です。

例:藤井風「まつり」

今の音楽シーンで、“自由に音楽へ乗る”感覚の代表格とも言えるのが藤井風さんです。

体を自然に揺らしながら、緩やかな川のように流れるメロディに身を委ねるように歌っています。

■タメる

演歌、スローバラード、ゴスペルなどに多い表現です。

– 感情
– 切なさ
– 深み

を強調できます。

例:美空ひばり「愛燦燦」

特に美空ひばりさんは、“言葉を置きにいく”ような間の使い方が特徴です。

■ハネる

ファンク、ジャズ、シティポップなどでよく使われるリズムです。

– 軽快さ
– 楽しさ
– グルーヴ感

例:竹内まりや「Plastic Love」

フレーズが短く設計されており、歌そのものがリズムの一部のように聴こえます。

また、竹内まりやさんは、言葉を“跳ねるように”発音することで独特のグルーヴを作っています。

例えば、

「とつぜんのキスや〜」

ではなく、

「とっつぜんのキッスや」

のように、言葉を軽く弾ませるように発音しています。

リズムはジャンルごとに全く違うため、まずは好きな音楽の「乗り方」を意識することが大切です。

② 息の量

息多め → 柔らかい・色気 例:徳永英明・藤井風など

息少なめ → 芯がある・力強い 例:玉置浩二・稲葉浩志など

息の量によって、声の印象や太さの感じ方が変わります。

徳永英明 さんのような、息を多く含んだ柔らかい歌声は、生まれ持った声質による部分もありますが、トレーニングによって身につけることも可能です。

ただ、必要以上に息を漏らしすぎたり、無理にかすれ声を作ろうとすると、喉へ負担がかかる場合もあるため注意が必要です。

③ 子音・母音の使い方

意外と大事なのが、“子音”と“母音”の使い方です。

まず子音は、

K

T

S

M

などをどう発音しているかで、グルーヴ感や抜け感が変わります。

山下達郎、宇多田ヒカル や 藤井風 など、洋楽の影響が強いアーティストほど、子音をリズミカルに使っていることが多いです。

一方で、“母音”の使い方でも歌の印象はかなり変わります。

例えば、

●母音をしっかり伸ばす

→ 歌謡曲っぽい、感情的、ストレートな印象

●母音を抜く・短くする

→ 洋楽っぽい、自然、力の抜けた印象

になります。

先ほど挙げた、美空ひばりさんの「愛燦燦」の歌いだしを例に挙げると、

「あめ、さんさんと~」

ではなく、

「ぁあめぇ、さんさんとぉぉ~」

のように、1つ1つの母音をしっかり響かせながら歌っています。

特に、

「ぁあ」

「ぇ」

「ぉぉ〜」

のように、母音そのものに感情を乗せているのが特徴です。

【ポイント】

“何を発音しているか”だけでなく、“どう発音しているか”まで聴くと、歌の個性がかなり見えてきます。

④ 感情表現

上手い人ほどずっと全力では歌いません。

– 抜く
– 抑える
– 解放する

このバランスが抑揚になります。

この強弱の使い分けが特に上手いのがエレカシ宮本浩次さんだと思います。

エレファントカシマシ「俺たちの明日」

「さあ、頑張ろうぜ!」

という、シンプルながら真っ直ぐなフレーズから始まるこの曲。

宮本浩次さんは、この“最も伝えたいメッセージ”に対して、最初から全力で叫ぶのではなく、

– 少し掠れた声

– ギリギリの熱量

– 言葉を押し出すような歌い方

を使うことで、

“本音で叫んでいる感覚”を生み出しています。

さらに、Aメロではあえて力を抜きながら語りかけるように歌い、サビで一気に感情を解放することで、

– 熱さ

– 人間臭さ

– 説得力

が何倍にも増しています。

なんて言いましたが、宮本さんの本当の凄さは、これを“テクニックとして作っている”ように聴こえないところにあります。

もちろん強弱のコントロールや表現力としては非常に高度なことをしていますが、それ以上に感じるのは、

“人生そのものが歌に乗っている”

という点です。

「さあ、頑張ろうぜ!」という言葉も、ただの歌詞ではなく、

自分自身にも言い聞かせているように聴こえる瞬間があります。

技術だけでは出せない、“魂ごと歌っている感じ”。

それこそが宮本浩次さんの最大の魅力だと思います。

まとめ

テクニックや歌い方について様々な話をしてきましたが、

私が一番大切にしていることは、

「歌い方には正解が一つではなく、たくさんの選択肢がある」

ということを知った上で、自分に合った表現を見つけていくことです。

息の量、リズムの乗り方、母音や子音の使い方、抑揚のつけ方。

これらはすべて“技術”として学ぶことができますが、それ自体がゴールではありません。

大切なのは、それらの中から自分にしっくりくるものを選び取り、自分の声や感覚に馴染ませていくことです。

そして、自分に合った様々な表現方法を習得した上で、それにあなた自身の歩んできた人生や経験、感じてきたストーリーが重なったとき、それが初めて「あなたの歌」になります。

それを私が精いっぱい引き出せるように、しっかりサポートしていきます。

あなたなりの歌い方を、一緒に見つけていきましょう!

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