WACCA MUSIC SCHOOL

講師ブログ

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

台詞覚えは根性論?!楽しめるか Labour of love

こんにちは!

WACCAミュージックスクールの万里紗です。

いよいよ秋の気配がしてきましたね。

そう、芸術の秋の到来です。

この10月からの時期は劇場の「シーズン」が開始する時期にあたり、

世界的に見ても、多くの劇場が一番力をこめた演目をもってくる、華やかな時期にあたります。

観たい作品があちこちでやっていて、お財布が心許なくなりそうですが、ほどよく節約しつつ(笑)この時期にぜひ沢山吸収したいところです。

さて、今日はよくご相談を受ける質問。

ズバリ「台詞ってどうやって覚えるの?」について、私なりにいくつかご提案したいと思います。

台詞覚えるの、大変ですよね。

オーディションで30分前に台本を渡されて、うろ覚えでぶっつけで相手役とやらなきゃいけない!なんて、かなりストレスフルな状況ですが、決して珍しいものではありません。

素敵な俳優さんたちに聞くと、どうやら皆さんそれぞれ「自分なりの覚えやすい方法」をもっているようですよ。

①やりとりの流れを把握し、中身から身体にいれていく

「まずは台詞を覚えなきゃいけない」という思考の枠組みをはずすアプローチです。

台本を分析し、読み合わせもしていき、やりとりが積み上がっていくと台本の流れが気付いたら体に入っていくということは確かにあります。

とはいえ、そうなると「てにをは」がいい加減に入ってしまうこともあるので、流れを体に入れる作業をしながら、台本に何度も立ち返り、一言一句確認して繰り返し呟いて入れていく、という方法をとります。

オーディションなど、即座に対応しなければならない場面では、

実は審査する側は「完璧に台詞が入っているか」ということより、「やりとりができるか」「役に合っているか」を見たいことがほとんどなので、このアプローチが有効に働くかもしれません。

②書いて覚える

私の体感としては、このアプローチは大量の長台詞や、文語的な台詞が多いときに有効な印象があります。

普段、自分の生活で使う「辞書」にはないような言葉が沢山出てくる作品の場合、まずは自分の身体の中にその言葉の「意味」や「概念」を存在させる必要があります。

書くと言う行為は、勿論その言葉を使う登場人物にとってみれば日常的にやる行為の一つでしょうし、俳優にとっても、自分の手を使ってその言葉を紙にアウトプットする、ある意味愛情表現というか(笑)その言葉と自分がお友達になれる、最も手軽な方法の一つです。

テスト勉強でも、きっと鎌倉幕府ができた年号、書いて覚えましたよね?

書き溜めたものをお部屋に貼れば、いつでも自分の目に入るようになるので、単に「手を動かす」以上の効果が出て、一石二鳥だな~と私はいつも感じます。

③足で覚える

俳優の間でよく囁かれる都市伝説の一つとして

「ふくらはぎの筋肉を動かしながら台詞を勉強すると覚えやすい」というのがあります。

理由は分かりません。謎。だれか理由を知っている人に説明してほしいくらい。

でも、確かにそうなのです。

歩いたり、走ったり、台詞を文節ごとに区切って歩いてみたり、はたまた足首を伸ばしたり曲げたりしてふくらはぎを刺激したり、やり方は様々あります。

個人的には、「足の裏に、ある程度の体重がかかる」という現象が「リズミカルに継続的に」起こりながら、「言葉を(小さい声で、平坦に)発語していく」ことで台詞が「自分の身体になじんでいく」ような体感があります。

それをひたすら、毎日毎日、「完成」を求めず、こつこつと反復することで、気付いたら台詞が体に入っている。そんなイメージです。まるで修行のようですね…

パンデミックのころ、よく色んな俳優さんが「台詞覚えの作業がしやすくなった」と言っていました。

なぜなら、マスクで口元を隠せるから、歩きながら小声で台詞を呟いていても怪しまれないから(笑)。

耳にイヤホンをつっこんでおらず、真剣な顔をして一人でぶつぶつ呟いている人がいたら、もしかしたらその人は俳優かもしれません。

怪しまず、小さな宇宙が傍らを通り過ぎるのを優しく見守ってあげてください。

まとめ

「台詞覚え」。

やらなきゃ始まらない。やり続けなきゃかすれてく。

入れば、相手役や状況に集中でき、翼が生えたかのような自由を獲得できる。

そうは言っても、覚えるのには時間がかかるし、

年齢とともに「入りにくくなってきた」というのもよく聞きます。

私の尊敬するベテランの俳優さんたちの中にも、「台詞が覚えきれるまでは飲みにいかない!」という方もいれば、毎朝5時におきて、2時間散歩して「台詞覚え」の作業を千穐楽の日まで続けるという方もいました。

これはまさしく・・・【Labour of Love】。

好きだからこそ、苦労を惜しまず…とは言わないまでも、苦労も含めて頑張ろうと思えるか。

いつもいつも、台本を頂くたびに自分の心に問いかけることです。

決してラクな工程ではないけれど、一緒に、演劇を愛する者として、がんばりましょう!

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