WACCA MUSIC SCHOOL

講師ブログ

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

EQ(イコライザー)でできること

こんにちは!

吉祥寺のZIGZAGと、銀座のWACCA、2つのMUSIC SCHOOLでDTM講師をしている難波です。

EQは何をするの?

EQ(イコライザー)を使ったことはありますか?

EQとは特定の周波数帯域(音の高さ)のみをターゲットにして音量を変化させるプラグインのことです。

EQはなんとなく挿してつまみをいじれば音色が大きく変わるため、コンプレッサーよりもとっつきやすく感じるかもしれません。

しかし大胆な変化があるからこそ、目的をしっかり定めて使わないと逆効果になりかねません。

EQを挿す目的は主に3つあります。

不要な帯域のカット処理

ひとつは録音の時に入ってしまったノイズ成分や、音の中で不必要な帯域を削るカット処理。

音色を変えるブースト処理

次に、特定の帯域を強調して音色を作り変えるブースト処理。

マスキング解消

そして、その2つを組み合わせてトラック間の楽器同士の被りを解消して棲み分けるマスキング解消です。

EQをうまく使うことで、各楽器がおいしい音色を保ちつつ全ての楽器がしっかり聞こえてくる楽曲を作ることができます。

各パラメータについて

EQには独特なパラメータがいくつかあります。

ここではそれについて解説していきます。

まずはそれぞれのつまみの役割についてです。

Freq(Frequency)

Frequencyの略、つまり周波数のことです。

単位はHzです。

EQ処理を施す際の基準点となる周波数を指定します。

大抵のアナライザー付きのEQであれば、左から右にかけて周波数が高くなっていきます。

Gain

Freqで決めた周波数帯域の音量をどれぐらい上げたり(ブースト)下げたり(カット)するかを決める値です。

単位はdBになります。

多くのEQは±12dBで調整することができます。

Q(Q-Factor)

EQの効果を作用させる帯域の幅を決める値になります。

Q値が高いほど影響する幅が狭くなり、特定の帯域に強く作用するようになります。

逆に低いほどより広い範囲へ緩やかに作用します。

EQカーブの種類

EQにはかかり方の違う3種類のカーブが基本的に用意されています。

Peak(Bell Curve)

Freqで指定された周波数の前後に広く影響を与えるカーブです。

Qが高いほど山の幅が狭くなり、極端に高くなるとNotchと呼ばれるカーブになります。

Pass Filter

指定された周波数より上、または下を大きく削るカーブです。

指定された周波数より下を通すものをLow-pass Filter、上を通すものをHigh-pass Filterといいます。

Qを上げるとカットされる手前の周波数帯域の音量が持ち上がります。

Shelf

指定された周波数より上、または下をGainの値に応じてブースト、またはカットするカーブです。

こちらも上に作用するか下に作用するかで呼び方が変わります。

Qを上げると指定した周波数の手前がカット、ブーストと逆の変化になります。

実際の使い方

それでは、実際にどんな場面でEQを使うのか考えていきましょう。

例えば、ボーカルにコンプレッサーをかけて音圧を上げると、録音時には気にならなかったノイズが聞こえてくるようになることがあります。

そういった時に100Hz以下をハイパスフィルターでカットして、ノイズを目立たないようにしてあげることができます。

あるいは、打ち込みで入れたピアノの音に少しハリが足りないと感じる時、2kHzあたりをピークで持ち上げてあげることで音色に煌びやかさを与えることができます。

コンプレッサーと併用する場合、カットするEQならコンプより先、ブーストするEQならコンプより後に使うことで、より効果的にEQを使うことができます。

また、キックとベースの帯域が近く被りが生じてしまっている時に、それぞれの特徴的な帯域を持ち上げて、また相手の特徴的な帯域をそれぞれ削ることによって低音同士の打ち消し合いを解消するという使い方があります。

キックが80Hz、ベースが180Hzあたりに特徴となる音域がある場合、キックの80Hzを数dB持ち上げ、キックの180Hzを数dB下げる、といった具合にお互いに帯域を譲り合って棲み分けをすることができるのです。

EQは少しつまみをいじるだけでわかりやすく音が変わってしまうため、常に何を目的としてEQを挿すのかを考えて使いましょう。

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