WACCA MUSIC SCHOOL

講師ブログ

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

コンプレッサーはどう使うの?

こんにちは!

吉祥寺のZIGZAGと、銀座のWACCA、2つのMUSIC SCHOOLで DTM講師をしている難波です。

コンプレッサーは音を削るもの

DTMをしていると、音を大きくするためや音を派手にするためにコンプレッサーをかける、という情報を耳にするかと思います。

しかし、実際にはコンプレッサーをかけるということは音量を削るということなのです。

スレッショルドの値で決められた音量を超えた場合に、その音量を一定の割合(レシオ)で圧縮することがコンプの役割なのです。

では、なぜそれが「音を大きくする」「音を派手にする」に繋がるかというと、このように圧縮した分の音量を最後にOutput Gain(またはMake Up)で持ち上げて補うからです。

そうすることで、音量の最大値を保ったまま全体の音量幅が少なくなるため、密度の高い音=派手な音になるのです。

そのためいくら音が派手になるからと言ってコンプをかけすぎると、演奏が本来持っている強弱表現を損いかねません。

あくまでコンプはかけすぎるのではなく、適切な設定で使ってあげることが重要なのです。

それぞれのつまみの役割

任意のトラックにコンプレッサーを立ち上げると、色々なつまみがついていてどこをいじればどうなるかが分かりづらいですね。

ここでは各つまみの意味や役割について解説していきます。

Threshold (Peak Reduction)

スレッショルドとは「閾値」、つまりコンプレッサーが動作を始める境目となる音量を決めるパラメータになります。

このスレッショルドを超える音量がコンプに流れた時、初めてコンプが動作します。

Ratio

レシオとは、スレッショルドを超えた音量をどの程度の割合で抑えるかを決める値になります。

例えば2:1なら、スレッショルドを超えた部分の音量が1/2になります。

この値を限界まで高く設定したものはリミッターと呼ばれ、コンプレッサーとは分けて使われることが多いです。

Attack

アタックとは、スレッショルドを超えてから実際にコンプが作動し始めるまでの時間です。

この値が短いほど音が本来持っている発音が損なわれてしまいますが、逆に長すぎるとコンプが作動する前にピークが収まってしまいます。

扱う音色によって適切な値を設定してあげることが重要です。

Release

リリースはアタックとは逆に、音量がスレッショルドを下回ってからコンプが動作を辞めるまでの時間です。

これが長すぎると前の発音で作動したコンプが、次の発音が始まるまでに動作が終わらずかかりっぱなしになってしまうことがあります。

また短すぎると「ポンピング」という現象を起こしてしまい、不自然なサウンドになってしまいます。

こちらも扱う音色によって注意が必要です。

Output Gain (Make Up)

アウトプットゲインとは、コンプレッサーで処理した後の音量を設定するつまみです。

大抵の場合コンプをかけると音が小さくなるため、このつまみで元の音量まで戻してあげることで音圧を上げることができます。

Gain Reduction

ゲインリダクションとは、スレッショルドを下げていき実際にコンプが反応した時、どれくらいの音量を削っているかの目安になるパラメータです。

この値が大きいほどより音量を削っているため、ダイナミクスの少ないサウンドになります。

ここまで見ると、実際にコンプレッサーが動作するのに必要なのは入力した音量よりスレッショルドのつまみを下げることだけです。

レシオが1:1より大きいのであれば、スレッショルドを下げてコンプを反応させ、ゲインリダクションの値だけアウトプットゲインを持ち上げてあげるだけでいいのです。

アタックやリリースは音色や目的によって値を設定してあげましょう。

どんな時に使うの?

それでは、実際にどんな時にコンプレッサーが使えるか考えていきましょう。

例えばボーカルを1曲通しで録音した時、Aメロとサビで音量が違いすぎてオケに馴染ませづらいということがあると思います。

そんな時にコンプレッサーでボーカルの音量差を縮めることで、強弱の幅を整えて1曲を通してボーカルが聞こえやすくなります。

また、ギターの演奏において部分的にアタックが強い音があり、全体の音量を上げようとすると0dBを超えてしまうという事態があったとしましょう。

そんな時はアタックを短く設定したコンプレッサーでピーク部分のみを削ってあげることで、オーディオをクリップさせることなくギターの音量を上げることができるようになります。

また、コンプレッサーには実機をモデリングしたプラグインも多く発売されています。

これらのコンプは真空管をエミュレートしたプラグインのため、通すだけで暖かみを得られることも多いです。

ただ音量感を整えるだけでなく、音色に味付けをするためにコンプが使われることもあります。

このようにひと口にコンプレッサーと言っても、その用途や役割は多岐に渡ります。

つまみも多く、初めのうちは効果もわかりづらいプラグインではありますが、使いこなせばサウンドをより細かくコントロールする強い味方となってくれるため、是非とも色々試してみてください。

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