こんにちは!
WACCA MUSIC SCHOOLの今野絵美理です。
前回に引き続き私が初めて覚えた洋楽、TLC のNo Scrubsの歌詞の一文Always talkin’ ’bout what he wantsを引用して、今回はリダクションとエリジョンについて記載したいと思います。
Reduction(リダクション)
リダクションとは、話し言葉で発音が弱まったり、省略されたりする現象の総称です。
特に以下のような音の変化がリダクションに含まれます
• 母音が弱くなる(例:to → tə, for → fə)
• 子音が落ちる(例:going → goin)
• 単語が縮まる・つながる(例:want to → wanna)
Elision(エリジョン)
エリジョンとは、音の脱落を意味する音声学用語です。
特に会話や歌、詩などの速い・リズム重視の言語使用で、発音しにくい音が省略されることを指します。
例:
• talking → talkin’(「g」が消える)
• friendship → frenship(「d」が弱くなって消える)
• next day → nex day(「t」が落ちる)
こうした「音の省略」は、英語のリズムやスムーズさを保つために自然に起こります。
該当フレーズでの解析
Always talkin’ ’bout what he wants
1. talkin’ ← talking
• 語尾の g が脱落
• /ˈtɔːkɪŋ/ → /ˈtɔːkɪn/
→ リダクション + エリジョン(脱落)
2. ’bout ← about
• 「a」が落ちて ’bout に
• /əˈbaʊt/ → /baʊt/
→ 最初の母音が消えて短縮された形(リダクション)
3. what he → /wʌɾi/ または /wəɾi/
• 「what」の「t」がフラップ音(弾く音)になる
→ 「wuddy」「wuh-dee」 のように聞こえることも
• 「he」の「h」が消える(h-dropping)
→ リダクション + フラッピング + リンキング
4. he wants → /iwants/ のように聞こえる
• 「he」の「h」が弱くなる or 脱落(h-dropping)
• 強勢が「wants」に移ることで「he」はほぼ聞こえなくなる
→ 自然なリズムに合わせた音の省略(リダクション)
まとめ
エリジョンとリダクションの違い:
エリジョンは、音が完全に脱落する現象を指しますが、リダクションは、音が弱くなったり、短くなったりする現象を指します。
これらは音声学的な自然なプロセスであり、特にネイティブの会話や音楽で頻繁に現れます。
これに慣れることで、ネイティブの英語がなぜあんなに速く聞こえるのかがよくわかりますし、英語のリスニングや発音がよりネイティブに近づきます♪