演技・話し方講師の矢野衣千佳です。
演技が「上手い人」には、ある共通点があります。
それは【感受性の高さ】です。
たとえばこんな経験、ありませんか?
「役の気持ちが伝わってこない」「形だけの芝居だね」と言われたり、泣くシーンで頑張っているのに、涙が出てこない。
それは、もしかしたら感受性が足りていないのかもしれません。
今回は、演技に一番必要で大切な要素になってくる「感受性」を高める方法をお伝えしたいと思います。
感受性とは?
まずは、そもそも感受性とは、なに?というところからになりますが、
感受性とは、外からの刺激や他人の感情、状況などを感じ取る力や反応する力のことを言います。
感受性の高い人の特徴は以下の通りとなります。
・他人の気持ちをよく察する(共感力が高い)
・芸術や音楽に深く感動する
・環境の変化に敏感(気圧、音、匂いなど)
・考えごとが多く、内面の世界が豊か
・ときに傷つきやすい
あなたは、いくつ当てはまりましたか?
演技において、なぜ感受性が必要なのか?
何に対しても「感じる力」(感受性)が強くなければ良い演技は生まれてきません。
相手のセリフを聞き、行動、状況を感じとり、そこで初めて気持ちが生まれて自分のセリフに繋がっていきます。
例えば、こんなシーンがあったとします。
(あなたを助けようとして、重傷の怪我をしてしまう相手役。仮に恋人の設定だとします。)
相手「死ぬ前に、一つだけ謝らせてほしい。幸せにしてあげられなくてごめん」
(あなた、堪えきれず涙をボロボロこぼしながら、)
あなた「そんなこと言わないで!死なないで!」
(息絶えそうになる相手役。)
このシーンを演じるにあたり、自分の中でなんの感情も湧き上がってこなければ、機械的な形だけの空っぽな演技になってしまい、嘘泣きのシーンになってしまいます。
無理矢理気持ちを作っても、それもまた形芝居になってしまいます。
嘘泣きの形芝居を見て、観ている人たちの心には感動も生まれなければなんのメッセージも届きません。
演技を上手く見せるためのテクニックはいくらでもありますが、演じる事の根底にある一番大事なものは「気持ち」です。
その気持ちは無理やり作るものではなく、自分の個人的な気持ちでもなく、与えられた役としての気持ちです。
その気持ちが無い状態で、テクニックを多様した演技を見せられても、演じているフリにしか見えません。
感受性を強くするためにできること
では、感受性を強めるためにはどうしたいいのか?
五感を意識して使う
まずは五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を研ぎ澄ます。
・散歩しながら自然の音や匂いに集中してみる
・食事中に「味」「香り」「食感」に集中する
・目を閉じて周囲の音に注意を向けてみる
感じた事のノートやスマホにメモするのも可視化されて良いです。
また、よく観察する癖をつけていきましょう。
アートや文学に触れる
・詩や小説、機会があればドラマ台本や舞台戯曲を読む(登場人物の感情に共感する)
・美術館などで絵画や写真をじっくり眺めみる
・色々な映画をみたり、色んなジャンルの音楽を聞いたりする
また、舞台やミュージカルを観に行ったり、コンサートやライブに行って、生のパッショをを感じることがとても有効です。
映画、舞台、今話題のドラマなどはチェックして、沢山の作品に触れましょう!
最後に
感受性は「生まれつきの才能」だと思われがちですが、実は練習をすれば高めることができます。
また、もともと感受性が高い人でも、日々の生活の中で自分の感情に蓋をしすぎてしまうと、だんだん鈍くなってしまうこともあります。
だからこそ、日常生活で感受性を磨くことを意識していきましょうか!
少しずつで大丈夫なので、毎日積み重ねることで演技力アップに直結していきます。