はじめまして。
WACCAミュージックスクールにて、今月より演技・話し方の講師を務めさせていただく矢野 衣千佳(やの いちか)です。
初回なので簡単に自己紹介をさせて頂きます。
私は16歳から32歳までの16年間、女優として舞台・映像の両分野で活動してきました。
(ちなみに中学生の頃に属していた市民劇団員時代はノーカウントです笑)
舞台では劇団に所属し、日々の稽古と公演を重ねながら、演技力向上に努める日々。
また、ロシア・マールイシアターズの劇場主任演出家ウラジミール・ベイリス氏からスタニフラフスキーシステム演技術を直接学んだほか、アクターズスタジオで知られるマイズナーテクニックにも触れ、多角的なアプローチで表現力を深めてきました。
映像では、主にドラマを中心に、映画、CM、企業VPなど、さまざまな現場を経験。
これまでの経験をもとに、技術面だけでなく、現場に活かせる実践的な知識もお伝えしていきたいと思っています。
さて今回は、そんな私自身の経験から、「舞台演技と映像演技の違い」というテーマについてお話します。
どちらも「演じる」ことには変わりませんが、実は求められるスキルや表現方法には大きな違いがあります。
舞台と映像それぞれの特徴や面白さを、私なりの視点で解説していきます。
一発勝負!舞台の世界
舞台の魅力は、何といっても物語の流れを最初から最後まで通して演じられること。
まさに、与えられた役として生きている。
そういった感覚になれるのは舞台でしか味わえない醍醐味です。
また、稽古期間があるので共演者と信頼関係を築きながら作品を創り上げていきます。
ただし、一度幕が開けば途中で止められません。
台詞飛んだり、アクシデントが起きても自力で立て直すしかありません。
例えば、共演者が台詞飛んだり、段取りを間違えたりした場合は、アドリブで次のセリフに繋げて手助けしたり、本番中に小道具が壊れてしまったという時も、アドリブで何とか対応します。
体力・集中力・アドリブ力が求められる、まさに「本番一発勝負」の世界です。
そして、何よりも観客の皆さんと空間を共有できるライブ感。
観ている方の空気がダイレクトに伝わってきて、特に最後のカーテンコールで頂く拍手は舞台でしか味わえない、役者冥利に尽きる瞬間です。
映像演技のリアルと魅力
映像の現場では、脚本の流れ通りにすべてを撮影することはできません。
特にドラマではロケ場所の都合により、同じ場所で1話・2話・3話分の1部分だけのシーンをまとめて撮影することも多く(間にあるシーンはすっ飛ばして撮ります)、演じるシュチュエーションはどうしてもぶつ切りになります。
そのため、カメラが回るその都度、感情と設定を作り直さなければなりません。
泣きの芝居を何度も同じクオリティで繰り返したり、直前でセリフが変更されることもあるので、再現性と柔軟性が求められてきます。
時間も非常にタイトで、よほどのミスがない限り撮り直しはありません。
自分自身が納得いかない演技でも、そのままOKが出てしまうことも…。
だからこそ、限られた時間の中で、すべてのカットに全力を注ぐ集中力が求められます。(この一発勝負感は舞台と似ていますね!)
舞台では共演者と稽古を重ねる時間がありますが、映像は初対面の共演者といきなり本番を迎えることも多く、演技のリズムが合わないまま撮影が終わってしまうことも…。
また、早朝・深夜の撮影や過酷な環境(炎天下での外ロケ、山奥での極寒ロケなど)も当たり前。
華やかに見える映像の世界の裏側には、想像以上のタフさが必要です。
そうした中でも、与えられた役を最後まで演じ切ることで得られる達成感は大きなものです。
また、自分の演技が評価され、同じ監督から再び指名を受けて次回作に出演できることは、役者として大きな励みになります。
完成した作品を通して自分の演技を客観的に見直すことで、次の成長にも繋がる。
そして何より、大勢の人の心に届く作品づくりに関われることも、映像の世界ならではの大きな魅力だと感じています。
どちらも違うけど、本質は同じ
舞台と映像、それぞれに求められる力も、演技のサイズ感、しんどさのベクトルも全く違います。
でも、共通しているのは「役を生きる」という事。
テクニックももちろん大事だけれど、その瞬間その場所に、与えられた役として「存在」できるかどうかです。
役者としての在り方や、演技の本質は舞台も映像も一緒です。
どの道に進むか悩んでるという方は、まずは演技の本質を学んで行きましょう!
私のレッスンでは、演技の本質に加え、実践的な技術や、方向性に悩む方々のサポートも丁寧に行います。
「演技を学んで終わり」ではなく、それを“仕事にしていくための現場で通用する力”を身につけられるレッスンです。
もちろん仕事ではなく趣味として演技を学びたい方も大歓迎です!
興味がある方は、ぜひ一度体験レッスンへお越しください。
質問もお気軽にどうぞ!