WACCA MUSIC SCHOOL

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【自分の声の高さがわからない人へ】スマホ1台で声の高さがわかるポイントを解説

こんにちは!WACCA MUSIC SCHOOLです。

「自分の声が高いのか低いのか、よくわからない…」そんなこと、ありませんか?

歌っていても、カラオケでキーをどれだけ下げればいいのか分からなかったり、友だちと比べて「自分は声が低いのかな?」と不安になったり…。

でも実は、自分の声の高さを正しく理解できていないだけという人がとても多いんです。

声の高さ(音域)は、スマホさえあれば誰でも簡単に測れますし、仕組みがわかれば迷わなくなります。

このコラムでは、自分の声がどんな高さなのかを、初めての方でも分かるようにやさしく解説していきます。

「声が低い」と思い込んでいた人でも、正しい測り方を知ればグッと歌いやすくなるので、ぜひ一緒に自分の声を理解するところから始めましょう。

声の高さはどのように決まる?

私たちが「声が高い・低い」と感じるとき、その違いを生み出しているのは、声帯が1秒間に何回振動しているかという点です。

この「1秒間あたりの振動回数」を周波数(Hz:ヘルツ)と呼びます。

例えば、声帯が1秒間に440回振動しているとき、その音はドレミファソラシドで言うと「ラ」になります。

この 440Hz のラは、ピアノの中央付近にある高めのラ(A4)で、一般的に「基準のラ」として使われています。

一方、その1オクターブ下のラ(A3)は約220Hzで、振動の回数が半分になります。

このように、数字が大きいほど振動が速く=音が高くなり、数字が小さいほど振動がゆっくり=音が低くなります。

つまり、声の高さは「声帯の振動スピード」で決まっていると考えると、とてもイメージしやすくなります。

自分の声の高さはドレミではない方法で確認しよう

自分の声ってだいたいどのくらいの高さなんだろう?」と思ったとき、まず「ドレミ」で考えたくなりますよね。

しかし「ドレミだけ」には大きな問題があります。

例えば「ド」と言っても、低いドからとても高いドまで、ピアノには何個も「ド」が並んでいます。

そのため、「自分はドのあたりが出しやすいです」と言われても、「どの高さのドなのか?」が他の人には伝わりにくいのです。

また、楽器を持っていない人にとっては、「このドです」と音を聞かせてもらわない限り、正確な高さをイメージしづらいという問題もあります。

そこで役に立つのが、「ドレミではなく、数字やアルファベットを使って高さを特定する方法」です。

これを使うと、「同じドでも、どの高さのドなのか」を具体的に表すことができます。

ドレミではない音高の表示方法2選

ここからは、代表的な 2 つの表記方法として、A4・C4 などの表記と、mid2d などの日本独自の表記を紹介していきます。

①A4・C4 などの数字付きアルファベット表記(SPN)

まずひとつ目は、A4・C4・G3のように「アルファベット+数字」で高さを表す方法です。

この表記は、正式にはScientific Pitch Notationと呼ばれ、略してSPN呼ばれています。

アルファベットの部分は、A・B・C・D・E・F・Gという「ドレミ」を英語で表したものになっています。

日本語の「ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ」に対応させると、C・D・E・F・G・A・Bという並びになります。

そして、数字の部分が「どの高さのゾーンにあるか」を示します。

数字が小さいほど低い音域、数字が大きくなるほど高い音域になります。

例えば、C4はピアノの真ん中あたりにある「真ん中のド」です。

そのひとつ上のドはC5、さらに上はC6というように、1オクターブ上がるごとに数字が1つ増えるルールになっています。

【オクターブとは?】

音名のアルファベットはA→B→C→D→E→F→Gと進み、G まで行ったらまたAに戻ります。

一方で、数字は「オクターブ」という単位ごとに増えていきます。

オクターブというのは、簡単に言うと「同じ名前の音どうしの間隔」のことです。

例えば、ピアノで低いほうの「ド」から、もう一つ上の「ド」までの幅が1オクターブです。

このとき、上のドは下のドよりも振動の速さ(周波数)がちょうど2倍になっています。

【英語の部分と数字の部分は周期が違う】

SPN では、数字はこのオクターブごとに 1 ずつ増えていきますが、その区切りは「ド(C)」が基準になっています。

たとえば、C4 〜 D4 〜 … 〜 B4までは同じ「4番台のオクターブ」に属し、その次のCに上がったところでC5になり、数字が4→5へと 1 つ増えます。

この中に含まれるA4が、さきほど説明した440Hz の高いラです。

その 1 オクターブ下のラはA3、1 オクターブ上のラはA5というように、同じ A でも数字によって高さが変わる仕組みです。

つまり、音の高さは「A〜G のアルファベットがくり返し進みつつ、オクターブが変わるタイミング(C のところ)で数字が 1 つ増える」という、アルファベットの循環と数字の変化の“二重構造”になっていると考えると整理しやすくなります。

【SPNの具体例】

有名な例でいうと、A4 は 440Hz の高いラで、基準になる「ラ」の音です。

レミオロメン「粉雪」の「な」の部分は、このA4にあたります。

Official髭男dism「Pretender」の冒頭、「君とのラブストーリー」「きみ」C4で、真ん中のドの高さです。

このように SPN を使うと、「粉雪のこの部分と同じ高さだよ」「ピアノの真ん中のドの少し上だよ」といった感覚的な説明を、数字付きの表記で正確に共有できます。

②mid2d などの日本独自の声域ラベル

もうひとつ、邦楽やボーカル解説でよく使われるのが、mid2d・hiA・lowGのような表記です。

これは日本の J-pop 文化の中で使われている独自の声域ラベルで、ざっくりと「低いゾーン」「真ん中のゾーン」「高いゾーン」を分けて表しています。

基本的には、low(ロウ)=低めmid(ミドル)=中くらいhi(ハイ)=高めというイメージです。

日本で使われる声域ラベルは、低いほうからlow → mid1 → mid2 → hi → hihi → hihihiという順番で高くなっていきます。

mid はmid1・mid2のように数字で高さを分けますが、hi はhi → hihi → hihihiのように「hi」の数が増えるほどオクターブが上がり、より高い帯域を示す仕組みになっています。

例えば、mid2dと言われる音は、SPN ではd4(真ん中のレ)に相当します。

「mid2=中くらいの中でもやや高めのゾーン」「d=レ」という意味で、歌いやすい高さの真ん中付近をイメージしやすい表記です。

この表記のメリットは、「歌手目線で、どのあたりの高さが多い曲か」をざっくり把握しやすい点です。

たとえば「この曲は hi の音が多いから高めの曲だな」「サビが mid2 で収まっているから、そこまで高くないな」といった判断がしやすくなります。

一方で、いくつかのデメリットもあります。

ひとつは、「mid2d」など文字数が多く、言いにくいことです。

もうひとつは、「高さによって呼び方が変わってしまう」という点です。

同じ「レ」でも、低い方ならlowD、真ん中あたりならmid2D、もっと高くなるとhiDと、ラベルが変わってしまいます。

また、この表記は世界共通ではないため、海外の資料や楽典と直接つながらないという側面もあります。

そのため、正確な高さを知りたいときは SPN(A4・C4 など)歌いやすさのゾーンをざっくり知りたいときは mid・hi などの表記、というように、目的によって使い分けるのがおすすめです。

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自分の声の高さを計る方法

ここまでで、「音の高さはどう決まるのか」「A4 や C4 などの表記でどの高さかを表せる」という話をしてきました。

では実際に、自分の声がどのくらいの高さまで出せるのかを確認してみましょう。

難しい機材は必要ありません。

今はスマホさえあれば、誰でも簡単に声の高さを数値で確認できます。

ここでは、チューナーアプリを使う方法と、ピアノアプリを使う方法の 2 パターンをご紹介します。

どちらも携帯一つでできてしまうので、ぜひ試してみてください。

チューナーアプリを使う方法

まず一番手軽なのが、チューナーアプリを使う方法です。

チューナーとは、本来はギターやベースなどの楽器のチューニングに使うアプリですが、声の高さも同じように測ることができます

やり方はとても簡単です。

お使いのスマホで「チューナー」や「チューニングアプリ」と検索して、無料のアプリを1つインストールします。

アプリを開くと、画面のどこかにA4・C4・G3などのように、音名と数字が表示されるようになっているはずです。

その状態で、マイクに向かって「あー」などの母音を伸ばして発声してみましょう。

すると、リアルタイムでアプリがあなたの声を拾い、「今は C4」「少し上がって D4」といったように、音名と高さを表示してくれます。

このとき、できるだけ安定した声でまっすぐ伸ばすと、数字も安定して読み取りやすくなります。

まずは、自分にとって楽に出せる一番低い音を出して、そのときに表示される音名と数字をメモします。

次に、少しずつ音を上げていき、無理をしない範囲で出せる一番高い音も同じようにチェックしてみましょう。

例えば、「一番低い楽な声がA2くらいで、一番高い楽な声がE4くらいだった」というように、自分の声域を客観的に把握できます。

この方法の良いところは、周波数や SPN(A4・C4 など)をそのまま数値として見られるので、ボイストレーナーや他の人とも共有しやすい点です。

反面、チューナーアプリはあくまで画面に数字が並ぶだけなので、「自分の声域がどれくらいの幅なのか」や「歌いたい曲とどれほど差があるのか」が視覚的にはつかみにくいというデメリットがあります。

ピアノアプリを使う方法

もうひとつの方法は、ピアノアプリを使って自分の声の高さを確認するやり方です。

こちらもスマホさえあれば OK で、「ピアノアプリ」や「キーボードアプリ」と検索すると、無料のものがいくつも見つかります。

アプリを開くと、画面に鍵盤が並んでいるはずです。

まず、ピアノアプリの設定や表示を見て、鍵盤のどこが C4(真ん中のド)かを確認しておきましょう。

鍵盤の下に「C4」「D4」などと書いてあるアプリもあれば、設定で表示をオンにできるものもあります。

準備ができたら、C4(真ん中のド)や、その少し下の音(B3・A3 など)を順番に鳴らしてみます。

鳴らした音に合わせて、「あー」「うー」などの発声で同じ高さをまねしてみるのがポイントです。

もし音が高すぎて苦しい場合は、鍵盤を少し左(低い方)に移動し、出しやすい高さの鍵盤を探していきます。

「この辺りなら無理なく出せる」という高さの音をいくつか見つけたら、その音の音名と数字(例:G3・A3・C4 など)をメモしておきましょう。

逆に、「この鍵盤の音はちょっときつい」と感じたところは、今の自分には少し高めという目安になります。

この作業を繰り返すことで、「自分はだいたい G3〜E4 の間が一番歌いやすい」といったように、感覚だけでなく数値としても把握できるようになります。

ピアノアプリを使う方法の最大のメリットは、自分の声域と歌いたい曲の音域がどれくらい離れているのかを、鍵盤の位置関係で“視覚的に”理解できる点です。

チューナーは数字が表示されるだけなので、「自分の声と曲の高さの差」が直感ではつかみにくいですが、ピアノアプリなら鍵盤上で距離として目に見えるため、圧倒的にイメージしやすくなります。

チューナーアプリと併用すれば、ピアノアプリで鳴らした音が「今は C4」「これは A3」といった形で SPN とも結びついていきます。

こうして、耳と数字と視覚のすべてから自分の声の高さを理解していくと、今後の練習やキー選びがぐっとスムーズになります。

自分の声の高さを測る上でのポイント

スマホを使えば誰でも簡単に自分の声の高さを測れますが、正しく音域を理解するためにはポイントを押さえることがとても大切です。

間違った測り方をすると「自分は声が低い」「全然高い声が出ない」と勘違いしてしまう人が本当に多いので、ぜひここで紹介する 2 つのポイントを押さえておきましょう。

① 地声と裏声それぞれの音域を計測する

音域を測るとき、地声だけ、あるいは裏声だけを測って終わりにしてしまう人がとても多いです。

しかし、声には地声音域裏声音域の 2 つがあり、両方を測ることで初めて自分の正確な音域がわかります。

特に、「地声が低い」と思い込んでいる人の多くは、裏声で出せる高さを測っていないために「自分は音域が狭い」と誤解しているケースが非常に多いです。

まずはチューナーやピアノアプリを使って、

・楽に出せる地声の最低音と最高音

・楽に出せる裏声の最低音と最高音

この 4 つを必ず測りましょう。

地声と裏声を別々に測ることで、「本当は裏声なら高音が出せる」という自分の強みを知ることができます。

② チューナーアプリだけの使用はNG

チューナーアプリは便利ですが、これだけに頼るのはおすすめしません。

理由は、チューナーは数字が表示されるだけなので、自分の声域と歌いたい曲の音域がどれくらい離れているのかが視覚的に把握しづらいためです。

そこで必須なのが、ピアノアプリとの併用です。

ピアノアプリなら、鍵盤上で「歌いたい曲の最高音」と「自分の最高音」の距離がひと目でわかります。

たとえば、歌いたい曲の地声最高音がG4で、自分が地声で無理なく出せる最高音がE4だったとします。

この場合、鍵盤を数えるとG4 → F#4 → F4 → E4という順番なので、ちょうど 3 つ分(約 1.5 音)の差があります。

つまり、その曲を歌うときはキーを -3あたりに設定すると、あなたの音域にちょうど合って歌いやすくなる、ということが視覚的に理解できます。

この方法のすごいところは、音域が普通なのに「自分は声が低い」と思い込んでいる人の勘違いが一瞬で解消される点です。

実際、「音域は普通〜広めなのに、曲のキーが合っていないだけ」の人が本当に多く、キー設定を正しくすれば急に歌が楽になります。

特に、男性が女性曲を原曲キーで歌おうとして「高すぎる」と悩んでいるパターンは典型的です。

逆に女性が男性曲を歌うときは、地声の低音が届かず「声が低い」と勘違いしてしまうケースが多く見られます。

しかし、正しいキー設定さえすれば、実際には誰でもその曲を無理なく歌える音域に調整できるのです。

自分の適正な音域で歌えれば、カラオケが一気に楽しくなるので、このテクニックは本当に重要です。

絶対に、チューナーだけで測って終わりにせず、ピアノアプリも使って「自分の声」と「曲の高さ」を対応させて確認してください。

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よくある質問

Q1. 地声と裏声の境目が分かりません。どこから裏声になるんですか?

地声と裏声の境目(ミックスボイスへの切り替わり)は、人によって大きく異なります。

一般的には、男性はE4〜G4あたり、女性はA4〜C5あたりで切り替わりやすいと言われますが、必ずしもこの範囲に当てはまるとは限りません。

大切なのは、「苦しくない高さで自然に出る声かどうか」です。

もし「喉にギュッと力が入った瞬間に出しづらくなる」ようなら、そのあたりが地声の上限に近づいているサインです。

迷った場合は、チューナーで高さを測りつつ、その高さをピアノで鳴らして感覚を確かめるのがおすすめです。

Q2. 測ったときの数値が日によって違います。これは異常ですか?

声帯は筋肉でできているため、日によって調子が変わるのは完全に正常です。

睡眠不足、乾燥、疲労、話しすぎ、飲酒などによって声帯の状態は大きく変わります。

特に地声音域は日によって上下しやすく、1 〜 2 音分変動することは珍しくありません。

複数日測って「平均的に出しやすい高さ」を基準にすると、より正確な音域が把握できます。

Q3. 高い声が出ないのは音域が狭いせいですか?

ほとんどの場合、音域が狭いからではありません。

むしろ、高音が苦しい原因の多くは「地声のまま高音を出そうとしている」ことです。

地声の上限を超えれば必ず苦しくなるため、裏声やミックスボイスといった発声を使う必要があります。

また、曲が自分の適正音域から離れているだけの場合も非常に多いです。

そのため、曲の最高音をピアノアプリで確認し、「自分の最高音とどれくらい離れているか」を知ることが先に必要になります。

Q4. 測ったら音域が狭かったです。歌は上達できますか?

もちろんできます。

生まれつきの声帯の形状によって多少の差はあるものの、音域はトレーニングで広がる部分が非常に多いです。

特に、裏声が苦手な人は裏声の使い方を練習するだけで一気に音域が広がります。

また、よくある勘違いとして、「自分は音域が狭いと思っていたけど、実際は曲のキーが合っていなかっただけ」というケースが非常に多いです。

まずは正確に音域を測り、そのうえで適切なキーを選べば、今よりずっと楽に歌えるようになります。

Q5. 測定にベストなタイミングはありますか?

最も適しているのは朝を除いた日中〜夜の落ち着いた時間です。

起きてすぐは声帯がむくんでいることが多く、音域が低く出がちになります。

また、食後すぐや飲酒後も声の状態が不安定になります。

できれば、毎回同じ条件・同じ時間帯で測ると、安定したデータが取れるのでおすすめです。

まとめ

自分の声の高さを知ることは、歌をもっと自由に楽しむための大きな一歩です。

多くの人が「声が低い」「高音が苦手」と思い込んでいますが、その多くは声そのものの問題ではなく、ただキーが合っていなかっただけというケースが本当に多くあります。

あなたの声にはあなたに合った音域があり、それを知るだけで歌の世界が大きく変わります。

スマホ一つで声の高さを測れる今こそ、ぜひ一度、自分の声に向き合ってみてください。

そして、自分の声に合った高さで歌える気持ちよさを、ぜひ体験してみてください。

あなたの歌が、もっと楽しく、もっと心地よく響きますように。

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