みなさんこんにちは!
突然ですが、ミックスボイスってご存知ですか?
高音を楽に出すテクニックとしてかなりポピュラーになりつつある「ミックスボイス」。
しかし、その実態は語る人によってバラバラで、謎に包まれています。
今回は具体例を出しながら、謎に包まれたミックスボイスを解き明かしていきます。
それでは行ってみましょう!!
ミックスボイスとは?
ミックスボイスとは声帯の厚みを調整することによって音程を変えられる声のことです。
例えば音程を上げたい場合、その方法は
①声帯を伸ばして薄くする
②声帯に当てる空気を強くする(声を大きくする)
この2通りの方法があるのですが、①の「声帯を伸ばして薄くする」という方法で音程を上げられる声がミックスボイスです。
ミックスボイスができている人・できていない人の特徴
ミックスボイスが使えない人は、声帯にぶつける「呼気の強さ」によって音程を変化させています。
強い空気を声帯に当てることで声帯の振動回数を増やしているので、音程が高くなればなるほど強い呼気圧が必要になり、声が大きくなっていってしまいます。
ミックスボイスは呼気の強さではなく声帯の厚みで音程を変えているので、音程が高くなっても呼気圧は一定のままです。
つまり、声を大きくしなくても音程が上げられるのです。

ミックスボイスができているかどうかの判断基準
ミックスボイスができていれば、声を大きくしなくても音程を上げていくことができます。
音量がどうしても大きくなってしまうのは、男女共にE4.F4.G4のエリアなので、その辺りの音域を音量を変えずに、地声体感でも裏声体感でも自由自在に出すことができれば、ミックスボイスができていると言えます。
ミックスボイスが出せない理由
なぜ多くの人がミックスボイスではなく、呼気圧で音程を上げる出し方になってしまうのでしょうか。
理由は単純明快で
「声帯が綺麗に振動していない」
「声帯の振動によって生まれた原音を、綺麗に響かせられていない」
この2つです。
つまり、ある程度呼気圧を上げて声を張ってあげないと、歌で使えるようなまともな声にならないからです。
逆に言えば、少ない呼気圧でもしっかりした綺麗な声が出せるようになれば、体は勝手にミックスボイスの方向へ向かっていきます。
ミックスボイスの出し方
ミックスボイスを出すための最初のステップは、先程申し上げた「少ない呼気圧」で声を出すことに慣れることです。
少ない呼気圧を作り出すために、まずは「強い呼気圧」の作り方を勉強しましょう。
呼気圧が強くなってしまう仕組み
呼気圧とは体内の空気圧力のことです。
体内の空気圧は
「息を強く吐くこと」
「その息が出て行かないように堰き止めること」
この2つの動作があって初めて高まります。
つまり、強い呼気圧を生み出すには「堰き止める」という動作が必要不可欠な訳です。
声帯の直上には仮声帯(カセイタイ)という息を堰き止めるための弁がついており、この仮声帯が寄ると息が堰き止まります。
呼気圧を強める際には、息を強く吐こうとすると同時に、この仮声帯が寄ってきているのです。
ミックスボイスの最初の一歩は「息を流れさせること」
強い呼気圧を生み出す条件が仮声帯を寄せることなのであれば、この仮声帯を遠く離れさせて、息がしっかり流れるようにしてしまえば、体内の空気圧力は一定以上高まることが無くなります。
つまり、ミックスボイスを出すための最初の一歩は「息を流れさせること」なのです。
息が流せた後は「ボリュームを上げる」
息を流すことで呼気圧が一定以上大きくならない状態を作ったら、後はその状態のままボリュームを上げていく練習をします。
呼気圧を上げずにボリュームを上げるためには、声帯を綺麗に振動させ、それによって生まれた原音を声帯上部の空間(声道)で上手に響かせるしか方法がありません。
つまり、息を流すというルールさえ守れば、あとは頑張ってボリュームを上げようとしているだけで体が勝手に正しいミックスボイスの道へと進み始めてくれるのです。
ミックスボイスの完成
ここまでの手順をしっかり守りながら歌で使える声量にまでボリュームがアップできれば、呼気圧が小さいまま歌うことが可能になるので、声帯の厚みを自由に変えることができます。
そもそも声帯は強い呼気圧に耐えるために分厚くなってしまうので、呼気圧から解放された声帯は自由に薄くなることができるのです。
ここまで来てようやく、ミックスボイスが完成したと言える状態になります。

ミックスボイスの練習方法
ここからは具体的なミックスボイスの練習方法をお伝えします。
「息の流し方」
「ボリュームを大きくする方法」
それぞれトピックを分けて説明していきます。
息を流す方法
息が流れている状態を作るためにはハミングを使います。
口を閉じて、地声でハミングをしてみてください。
音程は男性A3、女性C4くらいが良いと思います。
ハミングをした時に、鼻から息が流れていることを感じますか?
もし感じない場合、そのハミングはハッキリとした「N」音を発音していて、息が堰き止まっています。
反対に、鼻から息が流れている地声のハミングは、「N」音と比べて若干柔らかい印象の「M」音になっているはずです。
鼻は口に比べて径が小さく、息の流れを感じやすいので、息を流す練習にはハミングが持ってこいです。
まずはハミングを使って、鼻から息がしっかり流れているハミングを出せるようになってください。
ポイントは鼻から息を「しっかり」流せているかどうかです。
実は堰き止まっている時も、鼻から微量に空気は出ています。
「鼻から空気が出ているかどうか」で判断をしてしまうと、この練習は永遠にできないので注意してください。
堰き止めていないハミングは、鼻から「しっかりと」空気が流れている感覚があります。
間違いなく流れていると神に誓えない場合は、できていない可能性が高いので気をつけてください。
発音を「mum」に変えて音程・音量を上げる
ハミングで息を流せたら、そのまま口を開けると「マ」と発音できるはずです。
「流れているハミング」→「流れているマ」→「流れているハミング」・・・と繰り返して、「マンマンマンマン・・・」と発音してください。
途中で息が止まってしまうと、口を閉じた瞬間に鼻から息が抜けなくなるので、そこに気づけるように注意深く行ってください。
「マ」の時は口から息が抜けるので鼻から抜ける必要はありません。
息が抜けたまま「マンマン」と発音できたら、「マンマン」を息が続く限り繰り返しながら、音量を上げて行ってください。
一気に音量を上げようとすると、体は必ず息を堰き止めようとするので、それをしてはいけません。
堰き止めない範囲で、限界までボリュームを大きくするのです。
「これ以上大きくできない」と判断したら、音程を一つ上げます。
音程を上げたら、同じように息が流れたマンマンを繰り返して、音量を最大まで上げます。
これを繰り返すのです。
音程を上げる際には、裏声体感になってはいけません。
地声体感のまま男性G4、女性B4辺りまで音程を上げられて、かつそこそこの声量まで楽にボリュームを大きくできれば、声帯と声帯上部の空間を相当上手に扱えている証明になります。
また、そこまで上げられれば、高音部分をスムーズに裏声に切り替えることも難なくできるでしょう。
これが声帯の厚みを自在に変える技術、ミックスボイスです。

ミックスボイスの練習のコツ
先述した、呼気圧に頼らずに声帯を鳴らす練習をすると、ウィスパーボイスのような弱々しい音質の声になってしまう人がほとんどだと思います。
しかし、一旦はそれで問題ありません。
ウィスパーボイスのような息が流れている体感を維持したまま、なるべく強い音になるように「マンマンマン」を繰り返してください。
音を強くするコツは、「音量を上げよう」と思うのではなく「ハッキリしたア音を発声しよう」と思うことです。
息が流れている以上、腹圧をかけて音量を上げることができないので、音量を上げようと考えるのは逆効果になる恐れがあるのです。
ハッキリとした音質の「ア」音を発音しようとすると、声帯の内側にある「声帯筋」という筋肉の働きが促され、息が流れているのにハッキリとした強い音が鳴らせるようになってきます。
焦らず、じっくりと練習に取り組みましょう。
歌の中でミックスボイスを練習する方法
歌の中でミックスボイスを練習したい場合は、鼻歌くらいの音量の小声で歌うのが効果的です。
低い音程では何の意味も無いので、A3〜A4の範囲を何度も行き来するような音域の曲を歌うようにしましょう。
この練習がうまくいくと「自分が出している声が地声なのか裏声なのかわからない」という感覚になります。
音程を上げればスムーズに裏声っぽい感じになり、音程を下げれば地声っぽい感じになる、といった具合です。
その感覚のまま音量を大きくしていくことができれば、それもまたミックスボイスと呼べる声へと変貌していきます。
ミックスボイスはカラオケで練習するな
カラオケでマイクを使ってミックスボイスを練習してしまうと、どうしても大きな声で歌いたくなってしまいます。
また、マイクで自分の声のボリュームが増幅されると、自分がどのくらいの声量を出しているのか分かりにくくなってしまいます。
歌の中でミックスボイスを練習する場合は、必ずマイクを使わずアカペラで、なおかつ屋外や周りに人がいる時など、大きな声が出せないシチュエーションで行うのがベストです。
ミックスボイスの練習に適した曲・アーティスト
ミックスボイスの練習曲は最初からある程度高い、低すぎない曲で、かつE4辺りの中音域を何度も行き来する曲が向いています。
Aメロはずっと低く、サビはずっと高いといった曲は、「Aメロ地声、サビ裏声」といった具合に分けて歌ってしまうので、あまりオススメできません。
これらの条件を満たした上で、知名度も高いアーティストといえばOfficial髭男dismでしょう。
Official髭男dism – Subtitle [Official Video]
Official髭男dism – Pretender[Official Video]
Official髭男dism – ミックスナッツ [Official Video]
ヒゲダンの曲は最初からある程度高い曲が多く、E4辺りを何度も行き来する難曲がほとんどなので、ミックスボイスの練習に最適です。
サビは裏声になってしまって構わないので、AメロやBメロを「地声なのか裏声なのかわからない声」で歌えるように練習してください。
どんなに難しくても、低音部の地声体感だけは失わないように気をつけましょう。
「低音は明らかに地声なのに、そのまま音程を上げてもひっくり返らずに音程が上げられる」という状態が理想です。
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このような思いをお持ちの方には特にオススメです。
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まとめ
いかがでしたでしょうか。
息を流した状態で、歌で使える強さの声を作り上げるには数年から十数年単位の練習が必要になります。
それだけ、今回ご紹介したミックスボイスは上級のテクニックです。
しかし、歌を上手く歌うためには必須のテクニックであるのもまた事実です。
是非今回のコラムを参考に、自分なりのミックスボイスを習得していってください。
もし練習に行き詰まったら、ぜひ無料体験レッスン にお越しください。
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それでは!