WACCA MUSIC SCHOOL

お知らせ/コラム

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

【「ボイトレは意味ない」は嘘です】意味のあるボイトレに必要な「原因」と「対策」を解説

みなさんこんにちは!

WACCA MUSIC SCHOOLです!

みなさんは「ボイトレは意味ない」と思っていたりしませんか?

実はそれ、大きな間違いです。

なぜボイトレを意味がないと感じてしまうのか、意味のあるボイトレとはなんなのか、この記事で一緒に解き明かしていきましょう。

ボイトレが意味ないと感じるのは、原因が間違っているから

ボイトレは医療行為と同じで、原因の診断が間違っていれば効果は表れません。

例えば風邪を引いて病院に薬をもらいに行った時に、筋肉痛に効く湿布をもらっても風邪は良くならないですよね。

それと同じです。

ボイトレが意味ないと感じるのは、原因の根本解決にならないエクササイズを続けてしまっているからです。

喉が締まっていて苦しいのにスケール練習を繰り返していたり、意味もわからずリップロールだけやっていたり・・・。

意味のあるボイトレをするには、まず原因を正確に突き止める必要があります。

原因を突き止めると言っても、これは簡単なことではありません。

声の不具合の原因を突き止める専門家であるボイストレーナーでさえ、長い経験と知識が無いと原因はわからないのです。

独学で原因を突き止めるのは至難の技だと言えるでしょう。

そこでここからは、独学でボイトレをしている人でも自分の発声の不具合の原因が特定できるように、声の不具合の代表的な原因とその症状、そして代表的な対処方法に関してお伝えしていきます。

もし自分が当てはまっているなと感じたら、是非参考にしてみてください。

声の不具合の主な原因

声の不具合の直接的な原因は、大きく分けると2種類に分類できます。

すなわち

  • ・空気圧系か
  • ・筋肉系か

です。

順番に詳しく見ていきましょう。

声の不具合の主な原因〜空気圧編〜

ここでいう空気圧とは、声帯の上下の空間の空気圧のことを指しています。

たかが空気だと思って甘くみていると、とんでもない目に合います。

発声の問題の半分以上は空気圧をどうにかするだけで解決できる程、空気圧は大切なのです。

それでは、空気圧に問題があるとどんな症状が出るのでしょうか。

空気圧に問題がある場合の主な症状

空気圧に問題があると、息を強く吐くことができなくなります。

体感としては「力が入らない」という感覚になります。

みなさんは大きな声や、高い声を出す時に、ある程度力を入れて声を出しますよね。

この時にうまく力が入らない人は 「腹筋や首などが無駄に力んでいるだけで、声に上手く力が伝わっている感じがしない」といった感覚に陥ります。

これは空気圧に問題があって力が入れられないにも関わらず、無理やり強く声を出そうとしているからです。

根本の原因は「力んでいる」ことではなく、空気圧に問題があるのです。

なぜ空気圧に問題があると力が入らないのか

風船をイメージしてみてください。

風船に空気をパンパンになるまで入れて、口の部分を塞がずに手を離したら、ものすごい勢いで空気が排出されますよね。

なぜものすごい勢いで空気が排出されるのかというと、風船の中の空気圧が高まっているからです。

手を離した瞬間に、空気圧が高い所から低い所へ空気が移動していくのです。

「強い息を出す」・「力を入れて声を出す」というのはこれと全く同じ原理で行われていて、そもそも体内の空気圧を高められなければ、絶対にできない動作なのです。

空気圧を高めるための条件

空気圧が高い状態を作るためには、

  1. ①空気を取り込んで
  2. ②空気の出口を塞ぎ
  3. ③空気が入っている空間の体積を狭める

この3つのステップが必要です。

出口を塞いだ風船は、①〜③が全て満たせているから、手を離した時に勢い良く空気を発射できるのです。

それぞれのステップを詳しく見ていきます。

まず、①は呼吸ができれば誰でもできます。 問題はこの後です。

②の「出口を塞ぐ」はかなり高い技術が必要です。

人間の体には息の出口を塞げる器官として

  • 仮声帯
  • 喉頭蓋
  • 声道

この5つの器官がありますが、普通の人の場合、これらの扱いが非常に下手です。

そのため上手く出口を塞ぐことができず、空気が漏れ出てしまうので、体内の空気圧は下がり、強い息が吐けなくなります。

つまり、力が入らなくなるのです。

この時に、喉に無理矢理力を入れて、なんとか空気の出口を狭くして、空気圧を一定に保とうとする動きを「喉締め」と言います。

首を絞められているかのように苦しくなる「喉締め」は、このようなメカニズムで起こっているのです。

③に関しては、そもそも腹式呼吸ができていないとできません。

肺は肋骨の中に入っていますが、肋骨がある部分を「胸郭」と言います。 肺は胸郭の体積が広がることによって膨らみ、空気を取り入れます。

この時に、肋骨の広がりだけで胸郭を広げていると、人間は肋骨を意図的に凹ませる動きができないので、上手く胸郭の体積を狭めることができません。

そのため、空気圧が高められなくなります。

これがいわゆる胸式呼吸の状態です。

一方で、横隔膜を下げることによって胸郭の体積を広げられる人は、横隔膜の下の空間(お腹)の内圧が上がるので、圧力に押されてお腹が膨らみます。

お腹は意図的に凹ますことができる部位なので、お腹に力を入れて凹ませることで横隔膜を胸郭の方へ押し戻すことができ、胸郭内の体積を好きなように狭めることができるようになります。

これが腹式呼吸の状態です。

息の出口を適切に狭めた上で、腹式呼吸により自在に胸郭内の体積がコントロールできるようになれば、どんなシチュエーションでも、強い声が出せるようになります。

空気圧コントロールができれば、裏声にも力が入れられる

みなさん裏声を出してみてください。

裏声に力を入れて、声を大きくしようとしてみましょう。

ある程度は大きくできても、早々に限界を感じて大きくできなくなりませんか?

この原因は「裏声だから」ではなく、「息を堰き止められていないから」です。

先程の②のステップができていないのです。

②のステップが完璧にできていれば、裏声であろうとも地声に負けないくらい強く出すことが可能になります。

力が入らないのは、全て空気圧のコントロールができていないからなのです。

声の不具合の主な原因〜筋肉編〜

音程の操作、音色の操作は声帯周辺の筋肉で行っています。

つまり、筋肉に不足があると、たちまち声に不調を感じ始めます。

筋肉に問題がある場合の主な症状

発声に関わる筋肉は40種類以上あると言われているので、起こる症状も様々ですが、ここでは最も多くの人を困らせているであろう症状を紹介していきます。

それは「高音が苦しい」です。

高音の苦しさは、筋肉と空気圧の両方が原因で起こっています。

ここからは高音が苦しくなるメカニズムを説明していきます。

高音が苦しいのは「声帯を伸ばせていないから」

高音を苦しくさせている原因は、声帯を伸ばす筋肉の不足です。

声帯を伸ばす筋力が足りないと、声帯に強い空気をぶつけることでしか音程が上げられなくなります。

空気の強さで音程を上げるためには、先程紹介した

  1. ①空気を取り込んで
  2. ②空気の出口を塞ぎ
  3. ③空気が入っている空間の体積を狭める

この3つのプロセスを、音程が上がれば上がるほど強めなければいけなくなるので、どんどん喉が締まっていき、苦しくなるのです。

つまり高音で喉が締まる人の根本的な原因は、声帯を伸ばす筋肉の稼働不足なのです。

原因にアプローチすれば、意味のあるボイトレになる

いかがでしたでしょうか。

ここまでで

  • 「声に力が入らない」
  • 「大きな声が出せない」
  • 「喉が締まる」
  • 「高い声が出ない」

こういった発声の問題の原因について書いていきました。

当てはまる人も多いかと思います。

こういった症状に当てはまる人は、ただ闇雲にYoutubeで見た練習を繰り返すのではなく、きちんと原因にアプローチできる練習をしていかないと、「ボイトレは意味ない」という考えに行き着いてしまいます。

ここからは、先程解説した原因にアプローチできる練習方法をお伝えしていきます。

「ボイトレは意味ない」にならないための練習方法

ここでも、空気圧にアプローチできる練習と、筋肉にアプローチできる練習をわけてお伝えしていきます。

空気圧が原因の症状に効く練習方法

空気圧の練習には子音を使うのが効果的です。

K・P・B・T などの子音は、息を吐く力と止める力の両方のトレーニングになるのでオススメです。

例としてPを使った場合を説明します。

パ・パ・パと言ってみてください。

この時、必ず唇が一回閉じますよね。

パ行は、一度息を唇で止めないと発音できないという特性を持っています。

今度は、声を出さないで「パ」と発音してみてください。

「PA」の「P」の部分だけは発音できたのではないでしょうか。

「P」は無声子音と言われていて、声を出さなくても発音できる子音なのです。

この声を出さないパの時に鳴っている「P」音、つまり「唇の破裂音」が、なるべく強く鳴るように練習していきましょう。

破裂音を強くするには、先程紹介した体内の空気圧を強くする3つのプロセス↓

  1. ①空気を取り込んで
  2. ②空気の出口を塞ぎ
  3. ③空気が入っている空間の体積を狭める

が、高い強度で行えないとできません。

上手くできれば、唇の裏にしっかりと空気圧を感じながら、思い切り唇を弾く感覚を得られるでしょう。

この練習を空気圧を高めるのが苦手な人にやってもらい、「唇を弾く」感覚があったかどうか聞くと、必ず「よくわからない」と返答します。

唇の裏にしっかりと空気圧がかかっていればその感覚は明確なので、「よくわからない」という感想は絶対に出ません。

明確に唇を弾いている感覚を得られるようになるまで練習しましょう。

声帯を伸ばす筋肉の練習方法

こちらは裏声の低音を練習します。

地声の高音が出力を高めないと出ないのは、地声の高音域で声帯を伸ばす動作が行えていないからです。

つまり、地声の出力が上がり始める辺りから声帯を伸ばす運動が行えるようにトレーニングしていかないといけません。

声帯を伸ばす運動は裏声で鍛えることができます。

男性の場合、地声の出力が上がり始めるのはB3、C4辺りなので、最低限そこまでは裏声がしっかり出せるように練習していく必要があります。

裏声のまま1音ずつロングトーンしながら下がっていき、出しにくくなったり、地声になってしまったり、弱い音量でしか出せなくなってしまう音程を重点的に練習して出し慣れましょう。

するとだんだん出しやすくなっていき、安定感が出てきます。

いきなり強く出せるようになることはないので、根気強く取り組んでください。

【独学でボイトレしている人へ】ボイストレーナーを頼ろう

さて、ここまでは独学でボイトレをしている人でも自分の発声の不具合の原因が特定できるように、代表的な症状とその原因を書いてきました。

しかし、これもあくまで憶測の域を出ません。

確実に原因を突き止め、適切な対処法でもってボイトレを意味のあるものにしていきたいのなら、1番確実なのはやはりボイストレーナーを頼ることでしょう。

WACCA MUSIC SCHOOLでは多様なコースが揃っていて、どんな悩みでも適切に対処できる環境が整っています。

本当に意味のあるボイトレをしたい方は、ぜひ無料体験レッスンにお越しください。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

  • なぜボイトレを意味が無いと感じてしまうのか
  • よくある症状の具体的な原因
  • 具体的な練習方法

この3つがある程度わかる内容だったかと思います。

このコラムで、1人でも「ボイトレを意味ない」と感じる人が減れば嬉しいです。

それでは!