WACCA MUSIC SCHOOL

お知らせ/コラム

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

【歌が上手い人の秘密をボイストレーナーが解説!】ポイントは「息」にあった!

みなさんこんにちは!

WACCA MUSIC SCHOOLの姉妹校、DECO MUSIC SCHOOLの講師石川です!

今回は歌が上手くなるために絶対に必要なことをお伝えしていきます。

歌を歌う人全員に読んでいただきたい内容となっておりますので、ぜひご一読ください!!!

それではいってみましょう!!

なぜ音程・リズムは合っているのに歌が上手に聞こえないのか
〜歌の上手さとカラオケの点数は関係ない〜

「歌が上手い」と言ってもらうためには、最低限音程とリズムが合っている必要があります。

音程とリズムが合っているかどうかは、カラオケの採点バーなどを見れば一目瞭然です。

カラオケの採点は音程バーの正解率が非常に大切なので、音程とリズムさえ気をつければ、ある程度の点数は取れてしまいます。

しかし「音程とリズムがある程度合っていて、カラオケの点数も低くないのに、なぜか上手な歌に聞こえない」という経験をしたことはないでしょうか?

レッスンをしていても、本当に音痴で音程が全く取れないという人は実は少数派で、音程とリズムがある程度掴めているのに上手い歌に聞こえない人の方が圧倒的に多いです。

実は歌が上手く聞こえるためには、音程やリズム以外にも抑えなければならない秘訣があります。

歌が上手い人は、その秘訣を押さえているから歌が上手く聞こえるのです。

それでは、その秘訣とはなんなのでしょうか。

歌の上手い人の特徴は「響き」ではなく「息感」

日々たくさんのレッスンをさせていただく中で、生徒さんにプロのアーティストの歌を聞いてもらい、感想を言ってもらうことがあります。

「自分の歌声と比べて、どう?」と聞くと、よく上がる声は「自分の歌声はプロと比べて響きがないから、上手に聞こえない」というものです。

響きと聞くと、私がパッと思い浮かぶのは「倍音」です。

主に鳴っている音(基音)の、オクターブ上または下の音のことを「倍音」と言います。

基音と同時に複数の倍音が鳴っている声はとても良く通って聞こえるので、倍音がない声と比べると明らかに迫力があるように聞こえます。

プロのアーティストの歌声と自分の歌声を聴き比べて、迫力や明瞭さに明らかな違いがあれば、倍音を疑った方が良いかもしれません。

しかし、その生徒さんの言っている響きとは、本当に倍音のことなのでしょうか。

仮に歌が上手く聞こえる秘訣が倍音なのだとしたら、細く弱々しい声で歌う場合などは倍音が聞こえにくくなるので、上手に聞こえなくなるはずです。

でもそんなことありませんよね。

プロは弱々しく歌っても上手に聞こえます。

なぜプロのアーティストは弱々しい声も、迫力のある声も、両方とも上手く聞こえるのでしょうか。

実はこの答えは「響き」ではなく「息」にあるのです。

なぜ息感がある歌声は上手く聞こえるのか

歌が上手く聞こえる人の声には、多かれ少なかれ「息感」があります。

実際に私が息感のある歌い方と、息感が無い歌い方を実践すると、生徒さんは息感がある方を「響きがあって上手い感じがする」と表現されます。

息感がある声は「声」の周りが「息」でコーティングされているように聞こえるので、あたかも響きがあるように聞こえるのです。

声が息でコーティングされていると、なぜかはわかりませんが、声に「温度感」が宿ります。

この温度感は「暖かい」とか「儚い」とか「切ない」などの「ニュアンス」となって、歌声に表れるのです。

この「ニュアンス」・「温度感」の有無が、上手く聞こえる歌声かどうかを分けています。

歌が苦手な人が息感を出せない理由

「息感があれば声にニュアンスが宿って上手く聞こえるんだから、とにかく息感を意識して、全部ウィスパーボイスっぽい感じで歌えば良いじゃないか」

と思う方もいらっしゃると思います。

しかし、実際やってみると、これがなかなか難しいのです。

以下に息感を出しながら歌えない理由を2つ挙げます。

息感が出せない理由①
「息がもたない」

息感がある声で歌えない最もポピュラーな理由は「息がもたない」です。

息感がある声で歌おうとすると息が出て行き過ぎてしまい、すぐに酸欠になってしまうという状態です。

これは横隔膜の使い方が下手なことに原因があります。

横隔膜は緊張して収縮すると下がり、息を吸い込みます。

反対に弛緩すると横隔膜が上がり、息を吐き出す仕組みなのですが、息感がある声で長く歌うためには「横隔膜をゆっくり弛緩させる」という動作が必要不可欠です。

これができないと吸った息を吐き過ぎてしまうので、息を堰き止める動作をしないと息がもたなくなり、息感が無い歌声になってしまいます。

横隔膜をゆっくりと弛緩させる動作は猫背の人が特にやりづらく、姿勢の矯正から行わないといけません。

つまり、息感がある声で歌うには、地道な姿勢と横隔膜のトレーニングが不可欠なのです。

息感が出せない理由②
「大きな声を出さないと音程が上げられない」

音程を上げるには声帯の振動回数を上げなければなりません。

声帯の振動回数を上げるためには「より強い息を当てる」か「声帯を引き伸ばす」の2通りの方法があります。

声帯を伸ばすのが苦手な人はより強い息を声帯に当てて振動回数を増やすしかないので、その強い息に耐えるために、息がどんどん堰き止められていきます。

(詳しくは地声を高くする方法を参照)

すると、息の流れは遮断されていき、声に息感が無くなるのです。

特に歌が苦手な人は、声帯を引き伸ばす動作が本当に苦手なので、B3(低いシ)辺りで息を堰き止め始めます。

近年のPOPSはキーが高めなので、一曲の最低音がB3ということもザラにあります。

そうなると、キー的に息を堰き止めた声でしか歌えないことになるので、能力的に息感が出せないということになるのです。

息感が出せるようになるための練習方法

ここまでで、息感が出せない理由は「横隔膜をゆっくり弛緩させるのが苦手」と「声帯を伸ばすのが苦手」であることがわかりました。

つまりそこを対策してあげれば、息感のある、歌が上手く聞こえる声で歌うこともできるようになるわけです。

ここからは具体的な対策方法を原因別にお伝えしていきます。

横隔膜をゆっくり弛緩させる練習方法

●猫背を治す

横隔膜をゆっくり弛緩させるというのは、言い換えれば「横隔膜に力を入れたまま、徐々に力を緩めていく」ということです。

猫背の人は背中が丸くなっているので、横隔膜が常に少し潰れた状態になっています。

そうすると横隔膜は力が入りづらい状態になり、「徐々に力を抜く」という動作が非常にやりづらくなります。

そのため、猫背のストレッチをして猫背の改善を図っていきましょう。

幸いYoutubeなどで「猫背 ストレッチ」と検索すると、たくさんの動画がヒットするので、実践してみてください。

また、横隔膜は1番下の肋骨の部分に付いているので、その部分を折り曲げないように日常生活でも気をつけるようにしてください。

猫背を治すことが歌うまへの第一歩です。

●手を温める真似をする

手を口の前に出して、息で温めてみてください。

そして手が温かい状態を10秒間キープしてみましょう。

できましたか?

吐く息が強いと、とても10秒もキープしていられないのがわかっていただけたかと思います。

10秒以上キープするためには、最低限手を温められる程度の息はキープしながら、それ以上吐かないように調整することが必要です。

この調整する動作こそが「横隔膜をゆっくり弛緩させる動作」です。

この練習はいつでもどこでもできる非常に良い練習なので、今日から始めてみましょう。

声帯を伸ばす練習方法

声帯を伸ばすには裏声を練習する必要があります。

ただ、裏声の中にも「息を堰き止めた裏声」と、「息を堰き止めていない裏声」があり、堰き止めた裏声だと強い息を当てることで音程を上げられてしまいます。

できれば「強い息を当てて音程を上げる」という選択肢を完全に排除して練習して欲しいので、息を堰き止めていない裏声を使って練習するようにしましょう。

●息を堰き止めていない裏声の出し方

まず、口を閉じて鼻で深呼吸をしてみてください。

息を吐く時に鼻から息が出ていきますが、その鼻息の音が、自分の耳にしっかりと聞こえるように吐きましょう。

鼻息の音が出ていることを確認したら、その鼻息の強さも覚えてください。

息が鼻を通る勢い、鼻息のボリューム、これらを覚えるのです。

覚えたら、深呼吸の時と同じ勢いの鼻息を出しながら、裏声でハミングをしてみてください。

深呼吸だと鼻息がスムーズに出るのに、裏声にした途端鼻から息が出づらくなりませんでしたか?

出づらくなった人は息を堰き止めて裏声を出しています。

息を堰き止めなくても裏声が出せる人は、鼻息の勢いが一切損なわれることなく裏声が出せるはずだからです。

これは喉の筋力などはほとんど関係が無く、コツを掴めば誰でもできることなので、息を堰き止めない裏声が出せるようになるまで繰り返し練習しましょう。

●軟口蓋が上がる感覚を覚える

先程の練習で息を堰き止めない裏声を出すことができたら、鼻息の勢いが変わらないように気をつけながら、音程を上げていってみましょう。

すると、音程を上げる際に口の奥に空間を作ろうとしている自分に気がつくはずです。

これは体が声帯を伸ばすために、軟口蓋(上顎の柔らかい部分)を持ち上げようとしている証拠です。

同時に、音が「斜め後ろ上」方向に移動していく感覚も感じられたのではないでしょうか。

この2つの感覚は、体が声帯を伸ばそうとすると必ず起こる感覚で、個人差はありません。

誰でも必ず感じることができます。

この感覚を感じたまま歌うことができれば、音程を上げる時にパワーを上げる必要が無くなるので、息の流れを堰き止めずに高音を出すことができるのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はかなり有料級の内容だったと思います。

私自身も音程とリズムは合っているのに、なぜか歌が上手く聞こえないという現象に長く悩まされてきた1人です。

今回の内容を参考にしながら、一緒に上達していきましょう。

練習方法などでわからない点などがあれば、是非無料体験レッスンにお越しください。

それでは!