WACCA MUSIC SCHOOL

お知らせ/コラム

毎月講師会、研修、発表を行いより良い教え方を共有し、成果の感じられるレッスンを行えるよう努めています。

声量を上げる方法

話し声や歌声が小さいことで悩んでいる方は意外と多くいらっしゃいます。

特に俳優や歌手を目指す人にとっては死活問題な場合もありますよね。

今回は声量を大きくする方法を、地声を細かく分析しながら解説していきます。

それでは行ってみましょう!

(ボイトレ全体のことが知りたい方はボイトレとは?をチェック!)

そもそも声量とは?


まず、今回言っている「声量」が具体的に
どんな声の量を指しているのかを明確にしたいと思います。

実は地声は大まかに

①硬く、鋭く、軽い印象の音

②柔らかく、太く、重い印象の音

この2種類の音で構成されていて、2つの音の強さをまとめて「声量」という言葉で表しています。

①の音が強まると母音(アイウエオのこと)がハッキリと前に出て聞こえるようになり、②の音が強まると声に迫力があるように聞こえます。

それぞれの音が両方ともしっかり鳴っている声が一般的に「良い声」とされています。

それぞれの音色のイメージは「Da-iCE」というダンスボーカルグループをイメージしていただくと非常にわかりやすいです。

ツインボーカルの内の一人である花村想太さんは①がとても強く鳴っており、大野雄大さんは②の響きが強調されています。

どちらの音色をどのくらいの割合で鳴らすのかは人によって様々で、その人の出したい音色によって変わってきますが、割合が偏り過ぎてしまうと不健康な印象の声になります。

例えば①の音が強すぎて②の音がない場合の声は、音質は細くて軽いのに母音だけやたらにハッキリ聞こえるので、子供っぽい印象の声になります。

反対に①の音が極端に弱く②が強調され過ぎていると、母音が籠ったマイク乗りの悪い声になります。

声量で悩まれている人の場合この2つの内どちらか、あるいは両方が不足しているということになるので、まず自分が①と②のどちらが苦手なのかを認識し、それに対応したトレーニングをしていく必要があります。



声量を上げるためのチェック項目


①と②の音にはいくつか特徴があるので、その特徴を使って自分がどちらの音が苦手なのかを判別することができます。



物が震えるかどうか

②の音は出していると周りの物体が震えます。

①の音は、どう出しても物体が震えることはありません。

震える物体は木材・パソコン・ペットボトルなどなど、身の回りにある物は大体震えます。
手のひらでベッタリと触っていれば振動が確認できるでしょう。

A3〜D4辺りの音域が1番震えやすいので、その音域で物体が震えさせられるなら②の音がしっかり出せている証拠となります。

逆にどんな音域・出し方でも物が震えない場合は②の音が出せていないということになるので、迫力に欠けた歌声になりがちです。



響く位置

これは自分だとなかなか判断が難しいですが、響く位置で①と②2つの音を出し分けることができます。

①の音が響くのは決まって上顎の辺りです。

人によっては鼻と仰る人もいますが、大体その辺りに響きを感じます。

一方②の音が響くのは「口」「喉」「胸」です。

音程が高ければ「口・喉」
低ければ「喉・胸」が響くイメージですね。

例えばB3という音高で②の音を出している時の体感は「ベロの上、下顎、喉が同時に響いてるな〜」という感じです。

「上顎で響く、母音のハッキリした音」が出せないなら①が弱く
「口・喉・胸辺りで響く太い音」が出せないなら②が弱いという結論になります。



音色

これは先程から何度か説明している通り「母音がハッキリ前に出て聞こえるか、籠っているか」です。

ハッキリした音質が出せているなら①の音がしっかり鳴らせていて、籠っているなら鳴らせていないという判断になります。

自分の周りの人の声を想像してみると、声が籠っている人やハッキリした声の人など色々いらっしゃると思いますので、比較してみると良いでしょう。

単に母音が籠っているだけでは②の音が出せているとは言えないので、そこはご注意ください。
「籠っていて、物が震えて、口・喉・胸辺りが響いている」という3つの条件を満たしていないとダメです。

響きの位置と合わせて考えれば

「響く位置が前の方なら音も前に飛び」

「後ろの方で響けば音は籠る」

という風に理解できますね。



悩みの内容

最後が声に関する悩みの内容です。

「声がスカスカと息っぽくなってしまう」

「声が籠っている」

「マイク乗りが悪い」

こういったお悩みをお持ちなら①の音が確実に足りていません。

「歌声が太さや迫力に欠ける」

「声を大きくしようとすると聞き苦しい喉が閉まったような声になってしまう」

こういったお悩みの場合は②が足りていません。

普段抱えている悩みからも自分の苦手な音がある程度割り出せるので、参考にしてみましょう。



声量を上げるトレーニング方法


ここからはいよいよ具体的なトレーニング方法に入っていきます。

①と②の音をそれぞれ別々に強化していきましょう。



「硬く、鋭く、軽い印象の音」を強化する練習方法

①の音が弱い人は「声帯の閉鎖力」が弱い傾向にあります。

先程の「2つの音の特徴」のところで書いた内容を逆手に取って発声練習をすれば声帯閉鎖力が鍛えられ、声が良くなる可能性があります。

具体的には

・上顎辺りにしっかりと音を当てるイメージをする
・なるべく母音をハッキリ言おうとする

この2つを守りながら、地声のロングトーンを行ってください。

母音は「ア」「エ」がやりやすいと思います。

音域は男性がE3〜E4、女性がG3〜G4辺りで行いましょう。

この際に追加で気をつけていただきたい点が3つあります。

まず、なるべく音量は大きい方が良いです。
母音がハッキリした音の音量を上げていくとどんどん「うるさくて耳障り」な音になっていくので、最大限のうるささを目指してください。

もしも声が揺れてしまったり、痛みが出てきたり、ノイズが入ってきたりしてしまう場合はボリュームを大きくし過ぎていると考えられるので、そうならないレベルまで音量を下げてください。

2つ目に意識して欲しいのは「喉が苦しくてOK」という点です。

この練習を行なっていくと、
「喉に重たさを感じながら上顎に当てる出し方」

「喉に重たさは無く、上顎・鼻辺りだけに感触がある出し方」
この2通りの出し方があることに気がつく人が出てきます。

前者はいわゆる「地声」
後者はいわゆる「ミックスボイス」と呼ばれています。

今回練習したいのは「前者」なので、喉は苦しくてOKです。
もちろん苦しすぎるのはNGなので、もし声が震えてくるなどの症状が現れたらすぐに中止しましょう。
あくまで「苦しいからやり方が間違ってるのかな?」とは思わなくていいですよという意味合いです。

特に練習音域の高音の部分はかなり苦しくなるはずです。

音程を上げていく中でロングトーンの音質がおかしくなってきてしまったら、それ以上音程は上げずに下げていく練習をしましょう。

気をつけるポイントの最後は「口角を横に引く」です。

私達の声を生み出している「声帯」は、しっかりと閉じていてくれないと大きな音が出ません。

口角を横に引くだけで声帯が閉じやすくなるので、笑っている時の口の形を意識しながら練習しましょう。



「柔らかく、太く、重い印象の音」を強化する練習方法

こちらの音が苦手な人は口や喉で音を響かせることが苦手な傾向があります。

共鳴を阻害している要素を取り除き「空間を響かせる」という感覚を養いましょう。

こちらも基本的には地声のロングトーンで練習していきます。

男性がE3〜E4・女性がG3〜G4辺りの音程で、物が震えるかどうか確認しながら地声のロングトーンを行いましょう。

その際のポイントも3つありますので、ご紹介します。





一つ目のポイントは「アとオの中間くらいの発音で出す」です。

母音をハッキリ言おうとすると①の「硬く、鋭く、軽い印象の音」が強くなってきてしまいます。

また、口や喉がうまく響かせられると太い響きが生まれて発音が勝手に「オ」っぽくなるため、発音からそこにアプローチする狙いもあります。

二つ目のポイントは「ベロを出す」です。

筋肉的な癖で、声を出す際に自然とベロが奥に引っ込んでしまう人が割と多くいます。

その癖を矯正するために「ベロを下唇の上置いた」状態で、地声のロングトーンを行っていきましょう。

ベロが奥まる癖が取れれば喉の奥の空間が確保されやすくなり、口・喉で音を響かせやすくなります。

三つ目のポイントは先ほどと同じく「大きめのボリュームで出す」です。

口や喉の共鳴が使えていても、声の出力そのものが小さければ震える物も震えません。

なるべく大きめのボリュームでのロングトーンを心掛けましょう。



まとめ


いかがでしたでしょうか!

地声を構成している二つの音を分けて考えて、それぞれを適切にトレーニングしていけば確実に声量は大きくできます!

地道にトレーニングしていきましょう!

それでは!!