「自分もあんな風に歌えたら・・・」
どうしてもそう思ってしまいますよね。
今回は大森さんのような凄まじい高音を手にするまでにやらなくてはいけないことをまとめてみました。
是非最後までご覧になってください!
それではいってみましょう!!
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大森さんの高音が手に入るまでに必要な要素
早速大森さんのような高音を手に入れるために必要な要素を紹介していきます。要素は①〜⑤まであります。
①裏声の練習をして声帯を引き伸ばす筋力を高める
②地声を最低G4まで張り上げる練習をして、声帯の分厚くする筋力と声門下圧を高める
③喉上げ発声・仮声帯・舌・唇などを駆使して声門上圧を体得し、高音を地声化する
④声帯筋をトレーニングし、声に鋭さと強さを付加する
⑤口を開ける
①〜⑤を全て習得する頃には大森さんのような高音を出せるようになっているはずです。
①から順番に説明していきます。
①裏声の練習をして声帯を引き伸ばす筋力を高める
我々の声は「声帯」という喉仏の中にある一対の弦のような物が振動することによって生み出されています。物体が振動して音が鳴る場合、振動する物体が「薄く」・「硬く」・「短い」ほど高い音が出ます。
逆に「分厚く」・「柔らかく」・「長い」物が振動すれば低い音が出る仕組みです。
ギターなどの弦楽器は弦を引き伸ばすことで「硬さ」と「薄さ」を高めて音高を上げています。
実は声帯も全く同じ原理で音高を調整しています。
声帯を引き伸ばし、薄さと硬さを高めてあげれば高い音が出るのです。
声帯を引き伸ばす筋肉を「輪状甲状筋(リンジョウコウジョウキン)」と言いますが、大森さんのような高音を出すにはまずこの筋肉を鍛えることが最優先となります。
話は少し変わりますが、みなさん筋トレをしたことはありますか?
例えば上腕二頭筋を鍛えたい時に、上腕二頭筋以外の部位に負荷が逃げないように腕を台の上に置いたり、なるべく体を動かさないようにしたりすることがあります。
筋トレは狙った部位にピンポイントで負荷をかけるのが原則で、他の部位に負荷が分散するとトレーニング効率が著しく落ちてしまうのです。
輪状甲状筋のトレーニングも全く同じで、なるべく余計な筋肉に負荷をかけたくありません。
輪状甲状筋をピンポイントで刺激する必要があります。
輪状甲状筋をピンポイントで働かせる唯一の方法は「裏声を出すこと」です。
澄み切った綺麗な裏声は輪状甲状筋をピンポイントで刺激できるので、最大のトレーニング効率で輪状甲状筋を鍛えられます。
でも、ただ裏声を出せば良いというわけではありません。
「澄み切った裏声」でないと、ピンポイントではないのです。
例えば少し歪んでいたり、揺れていたり、地声が混ざったりしている裏声というのは
輪状甲状筋の筋力が弱いがために他の筋肉のサポートが入ってしまっている裏声です。
そういった裏声をいくら練習していても筋力アップは望めません。
まずはノイズの無い澄んだ裏声を出せるように練習しましょう。
それが出せたら、音程を上げたり下げたりしながらロングトーンを駆使して練習していきます。
裏声は音域はG3〜B5で2オクターブ以上の広大なものです。
その範囲全てで綺麗な裏声を出せるように練習しましょう。
そこまでできれば輪状甲状筋の筋力は相当な物になっているはずです。
音質の判断について
自分の裏声が綺麗なのか綺麗でないのかを自分で判断するのはとても難しいです。不可能と言っても過言ではありません。
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② 地声を最低G4まで張り上げる練習をして、声帯の分厚くする筋力と声門下圧を高める
難しい言葉が出てきましたね。声門下圧とは、簡単に言うと肺から声帯までの空気圧のことです。
声門下圧が大きいほど大きな声が出せます。
大森さんの高音の声量は半端じゃないですよね。
あの声を出すには声門下圧を上げる能力が絶対に必要です。
さて、声門下圧を上げるにはどうしたら良いでしょうか。
どんなものにも当てはまりますが、空気圧を上げるには「出口の無いところに空気を送り込む」のが1番です。
肺の空気は横隔膜の力などを使えば力強く押し出すことが可能です。
あとは空気の出入り口を制限してあげれば声門下圧は高まります。  
その出口を制限する役割を担うのが声帯です。
声帯が閉じているところに肺からの空気を押し込んで上げれば、声帯が耐えうる範囲で声門下圧、つまり声量を高めることができます。
ここで問題ですが、声帯はどのような形であれば声門下圧に耐えやすいでしょうか?
声帯は筋肉の塊なので、力の入れ具合で形が変形します。
下方からの空気圧に耐えやすい形はどんなものかイメージできましたか?
正解は「分厚くなる」です。
要は空気圧に吹き飛ばされなければ良いのですから、分厚い方が良いに決まっていますよね。
分厚い物体が振動すれば、出る音も当然太く、重たくなります。
つまり
「太く・重たい音色の地声を練習すれば声門下圧に耐える土台が出来上がり、声量を大きくできるようになる」
ということです。
③喉上げ発声・仮声帯・舌・唇などを駆使して声門上圧を体得し、高音を地声化する
声門上圧とは声帯の上側の空気圧のことです。②の項目をどんなに練習したところで、声帯の閉鎖力と息を押し出す力のどちからが強いかと言ったら絶対に「息を押し出す力」です。
本気で閉鎖した声帯と、本気で押し出された息では、息が勝ってしまいます。
声帯と横隔膜ではそもそも大きさが違い過ぎるので、力に差があるのも当然です。
息が声帯の閉鎖力を上回ると声帯が吹き飛ばされて裏声になってしまうので、大森さんの力強い高音とはかけ離れてしまいます。
もっと言うと、①のところで申し上げたように声帯は薄くならないと高音が出ないので、高音になればなるほど声門下圧に耐える力は下がっていきます。
(だから高音で喉が締まっていくのです)
つまり、高い声門下圧を維持したまま高音を出すには、声帯を閉じる力だけに頼っていては無理だと言うことです。
ならばどうするのか。
答えは「声帯の上側にも空気圧を作ってあげる」です。
これが声門上圧です。
先程から「声帯を閉じる」というワードがたくさん出てきますが、完全に閉じ切ってしまったら呼吸が止まってしまいます。
声が出ている以上微力ながら声帯から空気は出ているのです。
声帯の上側のどこかで空気の出入りが制限されている状態の時に、声帯の間を空気が通過してきたとしたら、声帯の上側の空気圧は当然上がります。
声門下圧を上げる際に声帯が空気の出入りを制限したように、声帯の上側でも同じことができれば声門上圧を作り出せるのです。
声帯の上側で空気の出入りを制限できそうな器官は
①仮声帯
②喉頭蓋
③声道
④舌
⑤唇
大体この辺りでしょうか。
ここでは④、⑤に関して説明していきます。
舌、唇は大森さんのように口を大きく開ける発声では使えなくなってしまう部分ですが、声門上圧の感覚を養うのには最も適しているので重要です。
実は、日本語の50音の中には舌や唇で空気の出入りを制限してあげないと発音できない音が存在します。
それが「バ行」・「パ行」・「カ行」・「ガ行」・「タ行」・「ダ行」です。
④の舌で声門上圧を作らないと発音できないのが
「カ行」・「ガ行」・「タ行」・「ダ行」
⑤の唇で声門上圧を作らないと発音できないのが
「バ行」・「パ行」
です。
声門上圧のトレーニング方法
例として「バ」で練習する場合を説明しますね。まず、口を完全に閉じたままの状態で、息を強めに吐こうとしてください。
鼻からも空気を出してはいけません。
完全に空気が出ない状態で息を吐こうとするのです。
そうすると口の内側に強い空気圧を感じると思います。
これから地声で短く「バ、バ、バ,バ」と言ってもらうのですが、バと発音していない間はこの「口の内側に強い空気圧を感じる状態」になるようにしてください。
少しでも「バー」と伸ばしてしまうと口の内側の空気圧、すなわち声門上圧が抜けてしまうのでNGです。
発音したらなるべく早く口を閉じるようにしてください。
空気圧を感じながら「バ、バ、バ」と連続で発音することに慣れてきたら、それで音程を上げていきます。
声門上圧を維持するのは声帯を閉じた状態をキープしたいからなので、音程を上げても地声体感を失わないように気をつけてください。
(地声体感についても高音を地声で出す方法で説明しているのでご参照ください。)
「バ行」であればなんでも良いので、高音になるにつれて「ベ」になってしまっても問題ありません。
1番地声感をキープしやすい発音で音程を上げていきましょう。
C5くらいまで地声感を保ったまま音程を上げられれば合格です。
④声帯筋をトレーニングし、声に鋭さと強さを付加する
さて、①〜③の内容が完璧にできれば、地声で高音を発声すること自体は難なく行えるはずです。しかし、この記事は「大森さんのような」高音を出すことにフォーカスしているので、高音を地声で出すだけでは終わりません。
④は「声質」の話になります。
これはだいぶ主観が入るので理解してもらえると大変嬉しいのですが
大森さんの声には独特の「鋭さ」があるとおもいませんか?
「鋭さ」が「強さ」を生み出し、同時に「太さ」・「迫力」もあるから大森さんの高音は圧倒的なのだと思います。
太さや迫力は②の練習で養えますが、高音域の鋭さはそれを生み出す筋肉を鍛えて上げないとなかなか出てきません。
それが「声帯筋」です。
声帯筋は声帯の縁についている筋肉で、高音域で薄くなってしまった声帯同士の隙間を完全に埋める役割を担っています。
声帯筋がしっかり稼働すると
「金属的」で「鋭い」響きが声に宿り、強さを生み出してくれます。
声帯筋のトレーニング方法
高音域で声帯が薄くなったところに声帯筋を入れるというシチュエーションを想定したいので、裏声に声帯筋を入れていくというアプローチで説明していきます。まずB4辺りの高さで裏声を出してみましょう。
発音は「ネイ」です。
次に、B4の裏声の「ネイ」をかわいい声にします。
鼻にかかったような変な声と言い換えても良いです。
とにかく普段の裏声とは全く違う音質の声にしてください。
その方が裏声を鋭い音質にしやすいです。
ここまでできたら、あとは鼻・前歯辺りの方向を目掛けて出力を上げていき、響きを最大まで鋭くしてください。
声帯筋が働いてくると金属的でうるさい響きが出てくるので、キンキンうるさい方が良いです。
めちゃめちゃ耳障りな音質を目指しましょう。
注意点としては、あくまで裏声のまま鋭くしてください。
ノイズが入ったり揺れたりする場合は地声になろうとしているサインなので、少し出力を落としましょう。
この練習をE5〜G3の範囲で行います。
どの音程でもキンキンした響きが乗せられるようになったら、地声でもうるさい響きが乗せられるか試してください。
裏声のネイに声門上圧が加わり声帯が閉じ切れれば勝手に地声体感になります。 地声にしても鋭く強い響きが損なわれなければ、かなり強く聞こえる声に仕上がっているはずです。
あとは自分の好みの音質に微調整していってください。
⑤口を開ける
最後が「口を開ける」です。地声体感を維持したまま、声に鋭さが付加され強い音になったら、最後は口を開けます。
そうすることで、音質がさらに地声っぽいものになります。
言葉にすると簡単ですが、口を開けると声門上圧が作りづらくなるので裏声になってしまわないように口を開けるのはなかなか難しいです。
ゆっくりとで構わないので、口を開けていく練習をしてください。
まとめ
いかがでしたでしょうか!文章自体は数分で読み終わってしまいますが、実際にできるようになるには間違いなく数年かかるであろう内容でした。
ボイストレーニングは焦らない気持ちと根気が大切です。
粘り強く練習を継続して、大森さんのような素晴らしい高音をゲットしてください。
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それでは!