「アニメのキャラクターみたいな声を出してみたい」「可愛い声に憧れるけれど、自分の声では無理だと思っている」──そんなご相談をいただくことが増えています。
実際、アニメ声や萌え声は“生まれつきの声質”だけで決まると思われがちですが、発声の仕組みを理解し、適切なトレーニングを行うことで、多くの方が再現できる声のジャンルです。
しかし、自己流で真似しようとすると、喉が痛くなったり、声が不安定になったり、無理な力が入ってしまうケースも少なくありません。誤った方法で続けると、声帯に負担をかけてしまうこともあります。
このコラムでは、アニメ声・萌え声を出すための基本的な身体の使い方や、初心者でも試せる実践的なステップ、そして喉を痛めないためのポイントを分かりやすく解説していきます。
アニメ声・萌え声とは?
「アニメ声」「萌え声」とは何かについて、まず整理してみましょう。
アニメ声とは、アニメキャラクターのような“デフォルメされた声質”のことで、明るく高めのピッチ、くっきりした発音、そして大きめの抑揚が特徴です。セリフが聞き取りやすく、キャラクターの感情が自然と伝わるような、表現力のある声を指します。
また、声の響きが軽く、鼻に少し抜けるような柔らかいトーンになることが多く、結果として幼さ・可愛らしさ・親しみやすさが生まれます。
萌え声は、アニメ声の中でも特に“甘さ”“柔らかさ”“ふんわりした可愛さ”を強調した声質を指すことが多いです。アニメ声よりも少し息を多めに使ったり、語尾を丸くするなど、より愛嬌のある響きを作るのが特徴です。
両者には明確な境界はなく、アニメ声=キャラ性の強い演技寄りの声、萌え声=柔らかく可愛い印象を重視した声といった違いがある程度です。
そしてこれらの声質は、決して生まれつきだけで決まるものではありません。声帯の使い方、息の流し方、舌・唇の形、喉のポジションを適切にコントロールすることで、多くの方が再現できます。
アニメ声と萌え声を作る重要な2大要素
アニメ声と萌え声には、明るさや可愛らしさを感じさせる独特の響きがあります。
この響きは生まれつきだけで決まるものではなく、声がどのように通り、どのように息を乗せるかといった発声のコントロールによって作られます。
その中でも、アニメ声と萌え声の土台になっているのが、喉仏(のどぼとけ)の位置と息の量のコントロールという2つの要素です。
喉仏がどの高さにあるかで声の明るさや抜け方が変わり、息をどれくらい流すかで声の柔らかさや甘さが変化します。
ここからはこの2大要素が、アニメ声と萌え声にどのような特徴を与えるのかを丁寧に説明していきます。
喉仏を上げる
アニメ声と萌え声に共通する「明るくて軽い」印象は、喉仏(のどぼとけ)が普段より少し高い位置にあるときに生まれやすいです。
なぜかと言うと、喉仏が上がると声の通り道がコンパクトになり、シンガーズフォルマントと呼ばれる3000Hz付近の高周波数倍音が強調されやすくなるからです。
この帯域が強調されると、声の輪郭が「くっきり」して、アニメキャラのセリフのような明るくハッキリした印象になります。
さらに、声道が短くなることで、声に「厚み」よりも「平たさ」が出やすくなります。
これは、大柄な大人の声よりも、体格の小さな女の子の声に近い性質なので、自然と「可愛い印象」の方向に寄っていきます。
「明るい」、「ハッキリ」、「幼い」というアニメ声と萌え声のイメージは、この喉仏の位置による音色の変化が大きく関わっているのです。
喉仏の位置を少し高く保つだけでも、アニメ声・萌え声に近づくための土台が作れます。
まずは、この“明るさの仕組み”を理解しておくことがとても大切です。
息の量のコントロール
アニメ声と萌え声では、どれくらい息を声に混ぜるかによって、声の印象やキャラクター性が大きく変わります。
息の量が多いほど声は柔らかくなり、息の量が少ないほど声ははっきりとした輪郭になります。
息をどれだけ混ぜるかで「可愛い系」から「キリッとした系」まで幅広い音色を作り分けられるのが大きな特徴です。
まず、息の量が少ない声は、声帯の振動がしっかりと聞こえるため、輪郭が「くっきり」した印象になります。
元気な主人公タイプや、明るいキャラクターにはこの息量がよく使われ、力強さやエネルギーのある声になります。
息の量を少しだけ増やすと、声に柔らかさが加わり、優しい・落ち着いた印象を作りやすくなります。
お姉さん系のキャラクターや、穏やかな性格のキャラでは、この中くらいの息量がよく使われます。
息の量をさらに多くすると、声に空気が混じり、ふんわりとした甘い音色になります。
いわゆる「萌え声」と呼ばれる柔らかい可愛さは、この息量が作り出しています。
語尾に少し息を残したり、声をそっと押し出すように発音すると、丸みのある優しい印象になります。
ただし、息を混ぜすぎると声が弱くなりすぎて音程が安定しにくくなることがあります。
逆に息が少なすぎると、声が硬く聞こえたり、アニメ声や萌え声の柔らかいニュアンスから遠ざかることがあります。
大切なのは、キャラクターの性格や雰囲気に合わせて、息の量を少なめ〜多めの間で丁寧に調整することです。
この息量のコントロールができると、アニメ声と萌え声の音色を自然に作り分けられるようになります。
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アニメ声・萌え声の出し方
アニメ声や萌え声では、喉仏の位置と息の扱いが大切になることを、ここまでで確認してきました。
次は、その二つを実際にどう動かし、どのように練習していけば身につけられるのかという「具体的な方法」に入っていきます。
喉仏をどのように動かせばよいのか、そして息の量をどのように調整すればよいのかを、順番にわかりやすくまとめました。
初めての方でも取り組める内容なので、一つずつゆっくり進めてみてください。
喉仏の上げ方
喉仏を高い位置に保つためには、力ずくで押し上げるのではなく、喉全体の“軽さ”を作ることが大切です。
まずは、日常の中で喉仏が自然に上がる動作を使って感覚をつかみます。
一番簡単なのは、軽く驚いたときの「えっ?」という動きです。
このとき喉仏が少しだけ上に動くので、その位置を意識したまま小さく声を出してみてください。
声に力を入れず、息を細く前に流すようにすると、その位置が保ちやすくなります。
理想は、喉を押し上げるのではなく“勝手に軽く上がっている”状態を作ることです。
喉の重さが抜ける感覚をつかむために、もう一つ試せる方法があります。
口を閉じたまま、鼻歌のように「ん〜」と小さく鳴らします。
このとき、音が上方向に抜けるように意識すると、喉仏がふわっと軽く上がる位置に落ち着きます。
慣れてきたら、母音「あ」や「い」に切り替えても、その軽さを保ったまま声を出す練習をしてみてください。
喉仏が上がらない人は、喉に力が入りすぎていることが多いです。
顎を軽く緩め、舌の根本も力まないようにして、喉の奥を狭めないようにしてみましょう。
喉の周りに余計な力があると、高い位置をキープしにくくなります。
喉が軽く自由に動ける状態を先に作ることで、喉仏が自然に上がる位置を安定して再現できます。
息の量のコントロールの仕方
アニメ声や萌え声を作るうえで、息の量は声の柔らかさ・甘さ・ふんわり感を決める重要な要素です。
しかし、そもそも「息に声を乗せる」という基礎動作ができていないと、息量の調整そのものがうまくいきません。
まずは「息だけのリップロール」をロングトーンで行い、どれくらい長く続けられるか秒数を測ってみましょう。
次に、音程はどこでも構わないので「声ありのリップロール」をロングトーンで行い、こちらも秒数を測ります。
息だけと声ありの秒数がほぼ同じであれば、息に声を乗せる動作が自然にできています。
ここで声ありの秒数が長くなる場合は、声を出す瞬間に息を「堰き止めてしまう癖」がある可能性が高いです。
その場合は、息だけのリップロールと同じ喉の状態を意識しながら、声ありのリップロールを行ってみてください。
「声を出す瞬間も息を止めない」という感覚が掴めると、息量のコントロールが格段にしやすくなります。
一方、声ありの秒数が短くなってしまう場合は、息が一気に出すぎてしまうタイプです。
この場合は横隔膜で呼気量を調整する力が不足している可能性が高いです。
発声時にお腹の膨らみをキープしたまま声を出すよう意識すると、息が無駄に漏れず安定しやすくなります。
最終的に、喉で息を止めず、横隔膜でスムーズに息を支えることができるようになると、息切れしにくい柔らかい声が作れるようになります。
息量を自由に調整できるようになると、アニメ声の軽さから萌え声のふわふわ感まで自在に表現できるようになります。
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アニメ声・萌え声の練習のコツ
アニメ声や萌え声は、頭の中のイメージだけでいきなり完成形を出そうとすると、ほとんどの場合うまくいきません。
大事なのは、喉仏や息の量といった要素を意識しつつも、少しずつ体に慣らしていくように練習することです。
いきなりキャラになりきるのではなく、自分の声の延長線上で変化をつけていくことで、無理のないアニメ声・萌え声に近づいていきます。
ここでは、これからの練習がスムーズになるように、押さえておきたいコツを3つに絞ってお伝えします。
コツ① 小さめの声量で、力を抜いて試す
まず最初のコツは、練習のときは声量を欲張らず、小さめの声から始めることです。
大きな声で一気にアニメ声を出そうとすると、喉に力が入りやすく、喉仏も息の流れもコントロールしづらくなります。
会話より少し小さいくらいの声量で発声すると、喉の動きや息の通り方を感じ取りやすくなり、細かい調整がしやすくなります。
最初は軽く「えっ」と驚くような声や、小さな「あ」など、短い音で構いません。
その中で「喉が少し軽く上がっている感じ」や「息がスッと前に流れている感じ」が分かってきたら、少しずつロングトーンやフレーズに広げていきましょう。
コツ② 自分の地声から、少しだけキャラ寄りにずらす
二つ目のコツは、いきなり別人のような声を目指すのではなく、自分の地声をベースに少しだけキャラクター寄りに寄せていくことです。
最初からアニメキャラの真似を全力でしようとすると、喉を締めたり、無理に高い声を出そうとしてしまい、結果的に安定しない声になりがちです。
まずは、自分の普段の声で「少し明るくする」、「少し軽くする」、「語尾だけ柔らかくする」など、一つの要素だけを変えてみるところから始めてみてください。
例えば、同じ「ありがとう」でも、「音程を少し高めに」「語尾を丸く」「息をほんの少し混ぜる」など、どこを変えるかを一つずつ試していくと、自分なりのアニメ声・萌え声の方向性が見つかりやすくなります。
小さな変化を積み重ねていくことで、無理のない範囲でキャラクター性を強めていくことができます。
コツ③ 短いフレーズと録音で確認する
三つ目のコツは、長いセリフで練習する前に、ごく短いフレーズを録音して客観的に確認することです。
自分の耳だけで判断していると、「思っていたより息が多すぎる」「想像より固い声になっている」といったズレに気づきにくくなります。
まずは「おはよう」や「ありがとう」のような短い言葉を選び、地声パターン、少しアニメ寄り、少し萌え声寄り、といった具合にバリエーションを作って録音してみてください。
あとから聞き返してみると、喉仏を高めに保てているか、息が多すぎないか、どのパターンが一番キャラに寄っているかが、冷静に判断しやすくなります。
録音を繰り返しながら調整していくことで、「自分が狙ったアニメ声・萌え声に近づいているかどうか」を具体的に確認できるようになります。
よくある質問
Q. 地声が低いのですが、それでもアニメ声や萌え声は出せますか?
声が低い方でもアニメ声・萌え声は十分に再現できます。
アニメ声の高い印象は、必ずしも音程だけで作られているわけではありません。
喉仏の位置や息の混ぜ方によって音色が変わることで生まれます。
そのため、地声が低くても声質を変える方向でアプローチすれば、キャラクターらしい明るさや軽さを再現できます。
実際、アニメ声の多くは「声道が短くなって音が前に集まる」ことで高く聞こえています。
音程を無理に上げる必要はありません。
Q. 無理に高い声を出そうとすると喉が痛くなります。何が原因ですか?
喉が痛くなる主な原因は、声を高くしようとして喉を締めてしまうことです。
喉仏を押し上げたり、喉の奥を狭めたりすると声帯が強く圧迫されます。
その結果、痛みや詰まった感覚が生まれます。
アニメ声・萌え声は「喉を強く使う声」ではなく、むしろ喉を軽くして動かしやすい状態にすることで作られます。
喉が痛い場合は、一度音量を下げて喉の重さを抜く練習から始めると負担が大きく減ります。
Q. アニメ声の時だけ、声が安定しなくなるのはなぜ?
アニメ声は普段より声道をコンパクトにするため、慣れていない状態だと支えが足りずに不安定になりやすいです。
特に息の流れが不安定だと声が揺れたり途中で息切れしやすくなります。
安定させるためには、まず「小さな声で一定の息を流し続ける練習」をするのが効果的です。
息だけのロングトーンができているほど、アニメ声でも音が安定します。
Q. 萌え声にしたいときの“息の量の目安”ってありますか?
目安としては、声に軽く空気が混ざる程度で十分です。
息を多く混ぜすぎると、声が弱くなりすぎて音程が不安定になります。
喉が乾きやすくなることもあります。
「語尾だけ少し息を多めにする」「小声で試してみる」など、部分的に息を増やす練習をすると、自然な可愛さが表現しやすくなります。
全体に息を大量に混ぜるより、部分的にコントロールする方が自然な萌え声になります。
Q. アニメ声にすると喉がすぐ疲れるのですが、普通ですか?
慣れていないうちは誰でも疲れやすいですが、喉が重く感じたり、声が枯れやすい場合は力の入りすぎが原因です。
アニメ声・萌え声は喉を軽く保ったまま声を前に集める発声です。
力で押す必要はありません。
疲れやすい方は、まずは「鼻歌に近い小さな声」で軽い喉の位置を作る練習をしてみると、喉への負担が大きく減ります。
軽い喉の位置が作れると疲れにくさも大きく変わります。
まとめ
アニメ声や萌え声は、生まれつきの声質だけで決まるものではありません。
喉仏の動かし方や息の扱い方など、ちょっとした体の使い方を覚えていくことで、誰でも少しずつ近づいていくことができます。
最初はうまくいかなくても問題ありません。
今日できなかった動きが、明日ふとできるようになることも珍しくありません。
大切なのは、自分のペースで無理なく練習を続けることです。
今回ご紹介したコツや練習方法が、あなたの「こうなりたい」という気持ちに寄り添う一歩になれば嬉しく思います。
アニメ声・萌え声づくりは、工夫するほど楽しくなるジャンルです。
焦らず、楽しみながらぜひいろいろ試してみてくださいね。
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